新日フィルのことなど

珍しいものと定番ものと取り混ぜたプログラム。
プフィッツナーの「パレストリーナ」は嫌いではないけど真剣に聴くものでもないなあというのが率直な感想。しんどい。重苦しくてしんどいのではなく、じっと聴いているのがしんどい。
元々が歌劇の前奏曲。隣のオネーチャンが終わった後に「映画音楽みたい」とか言うとったけど、納得。BGMなんよなあ。今日一番の豪華編成ではあったけど、ムダに人が多いというのか。


それはさておき、注目のメンデルスゾーンのピアノ協奏曲ホ短調。パンフの解説によると、メンデルスゾーンが自作自演するために書いていたが、途中で放棄したらしい。シューベルト交響曲なんかもそんなパターンやったよなあと思いながら聴いてみた。
第1楽章から第2楽章にかけて、メンデルスゾーンらしい華やかさで幕を開けるとそのままずるずる…。第3楽章で急転してピアノがヒートアップ。最後は熱演で締めくくる。なんかよく分からんまま拍手。
これは微妙、これは微妙(青島風
何でこうなってるのかと考えてみると、第2楽章まではメンデルスゾーン自身が書き残しているものがあるが、第3楽章はほぼない。ただ、構想上、3楽章のものらしい。そこでブファリーニが他のメンデルスゾーン作品を元に補完したというわけ。
まず、第2楽章で放棄したことについて。聴いてみた感想としては、完全に失敗作としてメンデルスゾーンが投げ出したのではないかと。ピアノとオーケストラのハーモニーが美しいが、平板な印象がある。見た目にはキレイだが、それをはがしてしまうと何もないというのか。そして他の作品から派生させたような第3楽章はハリボテというのか、妙に浮いている。
調べてみたらメンデルスゾーンってシューベルトの未完成交響曲を発掘してきたみたいなんよね。その時、メンデルスゾーンはどうしたかというと、楽譜やそれらしきものが残っている部分だけの演奏にした。おそらく4楽章まであったと思われるけど、あえて2楽章でやめた。
メンデルスゾーンのピアノ協奏曲も2楽章でやめとけばよかったのになあと。蛇足な気がするんよ。そうすれば平板とはいえ、全体としてはバランスのとれた曲になっていたと思うが。
まあそれではピアノ奏者が納まらんというのもあるけど。実際、第3楽章の気魄こもった演奏が盛り上がりをみせたわけで。ということは、やっぱり第2楽章までは失敗作なんかなと。ピアノ奏者は自ら盛り上がったままショパンエチュードを即興演奏。いくつか音符が増えとるがな。アレはアレで好きやけど。


締めはブラームス2番。これは可もなく不可もなく。派手さもないけど、手堅い演奏ではないかと。そういや、家に朝比奈隆の指揮した新日フィルのブラームス全集があったよなと思い出した。もっとも同じ新日フィルとはいえ15年以上前の録音なので当然、メンバーが変わっているので音も違う。が、やっぱり手堅い演奏は変わらない。テンポは全く違うけど、それは指揮者の違い。
なかなか気分よく帰り道につく。


ところで、メンデルスゾーンの3楽章あたりで急病人がおったみたいなんよね。
指揮していたハウシルトさんも気にしていた様子で、ピアノのカデンツァの部分は耳で聴きながら視線は客席(オケの裏に倒れた客がいたので指揮者からは丸見え)。
この間まで「心肺蘇生法は、2回人工呼吸を行い10秒ほど様子をみて自発呼吸がなければ人工呼吸2回心臓マッサージ30回を繰り返す」ということを反射的にマーキングできるように体を仕込んでいたためか、どうも気になって。
AED」と場内係が言うてたのが聞こえたなあ。速い対応はいいけど、演奏中に声を出されると周りの客としては困るんよね。手信号とかでできんもんなんかね?ブロックサインみたいなのが。