無駄遣いするぞ

今読んでいる漱石の「道草」の冒頭に「時間に対する態度が守銭奴」という表現がありまして、それが最近のお気に入り。
何でかって、現代人の病気やん。守銭奴
みんなカネに対しても文字通り「守銭奴」で、ちょっとでも不利益を被ろうもんならその5600倍を費やしてでも裁判して、ちょっとでも儲けようと本業そっちのけで必死になって職務怠慢で減給や。
時間に対してもおんなじ。「効率化」がキーワードになって久しいけど、「効率化」がもたらしたものは何か? 味気なさやろ。機械的な。それから提供(労働)する側の心身の損傷。たしかに時間は節約できるかもしれんけど、ひきかえに人間的なものを失ってるみたいなんや。
だってね、効率化を図るから余計なおしゃべりはしない。窓口もおんなじ。お役所で無言のままホイッと書類だけが差し出される。しゃべってる余裕があったら書類の処理に時間を費やしたいよな。特に繁忙期なんかは。例えば、転出入の激しい3月、4月。余計なおしゃべりをしてたら後ろの列から「はよせえ!」の怒号が飛ぶ。無口にてきぱきやってると「愛想ないなあ。お役所仕事やん!」。どっちがええねん(苦笑)。
働く方もひたすら効率化を求められ、何かを成し遂げても「よくやった。でも、まだまだスリム化できる」。お前がやれ!いう具合や。こんなんでまともな精神状態を維持できるわけがないから精神疾患が増える。当たり前や。精神的にまともな人は身体を害する。ストレスで潰瘍、ひどくなれば癌にまでなったりする。それでも労働力は使い捨てで、駒はまだまだあるといわんばかりに切り捨てられて、また新たな病人をうみだす。で、「何で精神疾患が多いのか。労働条件の改善を図るため業務を効率化する」。笑うしかないわ。


守銭奴】金銭をためることだけに執着するけちな人。(明鏡国語辞典


もっと無駄遣いしようや。もっとこころ豊かに生きようや。金銭的に豊かやなくてもええやろ。いや、カネがほしい言うんやったらとめへん。そのかわり代償は大きいで。
今日は早速実践してみたわ。1時間ぐらい無音空間でボーっと何も考えんと。たまにはええもんやなあ。と、そこで思ったのが、田舎へ旅行に行った時によく感想として「時間がとまったみたい」と表現されるけど、まさにそれやな。日頃は何にもせんとゆっくり過ごす時間がないから、たまに旅行へ行ってボーっとしてると本来あるべきはずのものを思い出すんやな。そうやってリフレッシュするんやろ。
考えてみたら、自分の生活が「時間の守銭奴」になってる。朝はギリギリまで眠り、必要最小限の朝飯で、帰ってきたら寸暇を惜しんで競馬研究に、読書に勤しむ。考え事は風呂に入りながら、皿洗いしながら。情報入手(テレビやネット)は飯を食いながら。軽い音楽と軽い本は同時進行。効率化やな、「ながら」は。けど、ようないよ。結局、モノにならんし、失敗も多い。やるんなら集中した方がな。時間を惜しんで成果に結びつかず。本当に時間を有効に使うんなら、実は「効率化」と反対の道を進むべきなんかもしれん。つまり、休み休みやると。で、やるときは一気呵成。また休んで。
それを実現できる環境を作りたいな。まずは寝ること以外のほぼ全てが混在している今の部屋を、せめて、読書とか思索については分離して、静かな環境へ持っていこうと。端的に言うと「書斎作るべ」。つうても今、寝床にしてる4畳半の部屋の片隅に机と本棚を置いて、残りの半分のスペースが寝床の、やっぱり混在した空間やけどね。でも、そこには音響機器は一切置かない。寝る時は刺激を与えずに寝る(真っ暗闇のほうが眠れる体質なんよ)。勉強するときも余計な刺激を与えずに集中する。
で、今の「ごった煮空間」はパソコンを使ったり、音楽を聴く空間。ホンマは純粋に音楽だけを聴けるリスニングルームがほしいけど、物理的に無理やからね。で、テレビが見られないと実走着差も処理できないし、PAT投票もできん。だからパソコンとAV機器が同居するんはしょうがない。まあ音楽を聴くことに集中する時は今もパソコンは落としてるけどね。
初期投資しにIKEAICOKA…。近所の雑貨屋を見て回ったけど、気に入った机はなかったし、あっても5万円とかするから、それならIKEAのが拡張性もあるしええよなって。
以上、近所のショッピングセンターのペットショップで柴犬見ながら考えたこと。犬はええよなあ。何にも考えんで生きていけるんやからなあ…

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