愚民どもに思う

今日は土用の丑の日。うなぎが大量消費される日である。
平賀源内が最初にすすめたとかいう説もあるが、夏場にスタミナ源を摂ろうという民間療法的な面もあり、実際、疲労をとるためのビタミンBが多く含まれているため効果的でもある。そういう意味なら豚肉でもかまわんわけやけど。
まあこういうのは文化であるので、便乗商法でも何でもええから受け継がれていくことは悪いことではない。

――監督は今日はうなぎだったのか?
オレはしない。しんどいもん。

近所にうまい鰻屋がないからな。土用の丑の日に必ずうなぎを食べなアカンというルールはないやろ。その辺の古い体質は分からんな。別に次の日とかでもええんよ。
さて、今日のそば屋での親子の会話。
母「思ったよりもあっさりしすぎていてあんまりあんまりよな」
ムスコ「それはオレも(半年ぐらい前から)思っていたこと」
娘。「何かゴムみたい」
そらそうよ。1,500円で鰻重とせいろがついてくるんやもん。ありえへんやろ。大体、そば屋というのは日本版ファストフード。立ち食いなんかはその典型で、江戸時代なんかは二八そばと称して屋台が出ていた。そこで一杯ひっかけてかけそばを食うというのんが風習やった。
対照的に鰻というのはスローフード。注文して20分、30分は当たり前。よく店で「やけに(出てくるのが)遅いな。今、裏で鶏を絞めてるんとちゃうんか」って冗談を言うけど、ちゃんとした鰻屋に限ればそれは本当のことで、注文を受けてから捌いて焼く。焼くのにも、まず焼き(白焼)、次に蒸してから最後にタレをつけて再度焼くという工程を踏む。だから時間がかかるのである。(上方はガッーと焼いて終わり。蒸さない。ひつまむしにするのでそこで蒸れるからか? いらちな大阪の一面かもな)
で、そば屋で鰻、である。全く正反対のものが出てくるわけである。そら不味いやろ。つうか、そんなもん頼むなよって。せめてうな玉丼とかな。ああいうの(そば屋の蒲焼)は大体が冷凍パック。解凍して表面だけ焼いておしまい。オレは(注文)しない。(店に苦情を言うのが)しんどいもん。
今週は通院ウィークなので、病院の近所の鰻屋で5,600円ぐらいの松でも食ってくるか。
ところで、中国産のうなぎが話題になっているが、何を今更という感じではある。ちょい前の段ボール肉まんも一昔前の狂牛病騒動(ニクコプーンなつかしす)もそうやけど、報道があった途端に食うのをやめるというのはアホやろ。お前ら、今までそれを「マイウーマイウー」言うて食うとったんやろ。手遅れや(笑い)。ちょっとした報道で踊らされすぎなんよね、今の日本は(日本に限らず先進国、特にアメリカ)。
こういう風説被害というのは今に始まったことでなく、昔っからあったわけやけど、口コミによる風説やから伝播するのに時間がかかった。だから噂の中心部から周辺部へ伝わる頃には発生源あたりではもう何事もなかったかのように収まっていたもの。噂の真相は分からず。尾ひれもいっぱいついてるから原型も分からず。現代ははやいわな。プレスが発表したら数時間で全世界に広まるわけやから。被害が集中する。その結果、被害を受けるほうは一気にくるわけやからダメージはものすごく大きいよな。情報化社会の悪い一面や。
うなぎも今年は随分と売れ行きが悪いらしい。ワシ一人食うたところでそんなに変わるとは思わんけど、せめてこういうときぐらい「うなぎ業者、ガンガレ」って意味もこめて普段以上に食おうかと思うわな。その店が中国産使ってたとしてもや。店が悪いわけやないんやから。まあ使ってないとは思うけど、その辺の真相は闇やからね。「国産」って表に書いてしまったら分からんわけやから。それを分かるのは海原雄山山岡士郎だけや(爆笑)。