造反、というよりも不協和

事業仕分けに対する反対意見がちゃんとした筋から多数挙がっている。
真っ先に反応したのは科学技術分野の先生方。これはもう個人とか一企業のレベルでやっていける金額やないから必死よ。スポーツ関連もメダリストらからの反論が出てきて、しまいには大臣からも「ウチでこれを全部削っていくのはムリぽ」的発言が出る始末。長妻君、大変だな。今日はワシも気になる音楽部門からダメ出しされたわけですよ。
文科省関連で妙に多く反対意見が出てきているが、分からんこともない。文科省でやっていることが、1年2年という超近眼的にみればムダに思える事業が多いから。ロケットに何百億出したら来年に世界で最先端のもんが出来上がるかいうとそれはない。科学もスポーツも文化も、継続性が大事なんよ。
分かりやすいのはスポーツで、優れた選手や理論家を養成する。彼らが次代を育成する。それの繰り返しで国の競技レベルが向上していくわけである。ポッと一人、王貞治イチローが出てきてそのままずっと強いということはない。王さんの選手時代の活躍もさることながら、ダイエーソフトバンクでの監督業は日本プロ野球史上でも最大級に評価されていいと思う。
野球のように競技人口も多く、日本に根付いている競技なら国が支援する必要はない。しかし、マイナーな競技はいくらでもあるし、それで食っている競技者も結構な数でいる。今や企業のスポンサーなんかサッカーですら厳しい時代。国が見放したらそらもう空白の世代が出来上がってしまう。そうすると、受け継がれてきた技術論やら経験論はまた一からやり直し。数十年単位で後退ということになる。
音楽なんかも同じで、明治時代に西洋から先生を呼んできて東京ゲイ大やら作って、やっと世界にも通用する音楽家が出てきたのが戦後になってから。何十年かかると思ってるのか。
もちろん、仕分けしとる方は、そんな知識もないし、とにかく今日明日のお金を作ることが至上命題なので要らないと判断してしまう。大本営が「鳩山内閣事業仕分けの成果、1兆何千億円」と数字だけの発表を行う。国民のほとんどは詳細は知らされないまま「そんなにムダがあったんだ」と思い込まされる。あるいは「そりゃ私らには要らないよ」とのたまう。いや、それ言うたらアンタらの存在も世の中の大半から要らないので消えてくれという理屈にならんか。そうやないやろ??
このまま行ったら日本はめちゃくちゃよ。経済は浮上せんわ、科学技術でもインドの下とかになるやろうし(インド人は頭ええんよ)、スポーツも音楽もさっぱりで。ワシは選挙前から民主党なんか政権とったら国がつぶされる言うてきたけど、ここまでキレイに破壊されてくると呆れるわ。最後は竹槍持って戦争でもして版図拡大するしかないわな。


それで、面白いのが各省のサイト。
行政刷新委員会へのご意見やら、来年度の予算へのご意見(と見せかけて実は事業仕分けに対するご意見)やらを募集している。
総務省 http://www.soumu.go.jp/menu_syokai/bosyu/yosan.html
経産省 http://www.meti.go.jp/topic/data/091120aj.html
文科省 http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm
表向き、事業仕分けに対する世評を知りたいということにしているんやろうが、中の人もこれはかなわんというのが本音やろ。ただ、省内からの意見では政府への説得力に欠けるので、国民からのご意見という民主主義の力でひっくり返してやろうと。
「自分には関係ないから削減廃止結構結構」という方々はよろしい。最後には自らの生活が削減廃止されるのも知らないんやから。少しでも良心のあるモンなら、あの暴力的な事業仕分けに対する「署名」。そら、出すやろ。傍観してるだけでは暴走する一方やからね。