ノガミで休日

なぜノガミかと申しますと、鈴本へ行きたかったからであります。年に何回観られるかという絶滅危惧種に指定されている圓歌師匠のどうでもいい戯言を聴いてやろうと酔狂なことを思いまして。で、そのためだけに休みをとりまして。
しかしまあ、寄席ってえのは、いつ見ても暇人か物好きしかいない。まれに両方を兼ねてるってえ方もいらっしゃるようですが。道理で満席なわけだよな。みんなヒマなんだよ。平日の昼間っからこんなとこ来てさ。はは。まったく。バカじゃないの。
4時間近く座り続けて所期の目的は果たしたってえなことになりますが、まあ相変わらずどうでもいいおしゃべりですわな。小さんがどうの、圓楽がどうのって。生きてるの、アンタだけじゃねえかよ、ホント。誰か口述筆記で記録でもとってやんなさい。
さて、そこまでに至るドウテイ。道程。最近は寄席で落語をやらなくなりましたね。落語と銘打っているが、漫談しかできない。ジジイになってもう物忘れが激しいってんじゃあしょうがないが、若手も落語をやらない。やっても創作落語だったりする。それも基本ができていないからタチが悪い。若手だけじゃない。大きな名前を継いでるタレントもおんなじことですよ。ネタを作ってきても話芸になってないんだから。どっち向いてしゃべってんの。誰がしゃべってんのさ。全然場面が生き生きしてないよ。全く。話の中で一番面白かったのが「名前はいえませんが、黄色い方が地方へ行かれた時のこと。駅前にたむろしている不良たちが指差して『ラーメンだよ』とか『バカ』とか言うんですね。名前なんか全然覚えてなくて。その後ろを歩いている私にも気付いたらしく、『こぶ蔵だよ』って。(前の名前と今の名前が)混ざっちゃってるんですよ。挙句にリーダー格の不良が『ちげえよ。松村だよ』。あたしゃもう悲しくなって」という類の漫談だから救いようがない。これではオールナイトニッポンのフリートークコーナーではないか。
いや、まあ、笑えたらいいんですよ。こっちとしては。歌武蔵の漫談聴いて笑ってたらいいんですから。この人のはちゃんと漫談にもオチがついていてちゃんと構成している。延々角界で同期だった某親方の家庭事情まで暴露して笑いをとって、あたしゃしてませんよ、元手がないんだからやりたくってもできない、ホントにやってないんだから。賭けてもいいですよ。って。笑えるんだが、他人の家の不幸をネタにしちゃいかんでしょ。しかもシャレにならんレベルの話で。
まあ、笑えたらいいんですがね。
腹減るからってんで、先に切符だけ買って、外で飯を食ってきたんですよ。中には助六弁当とお菓子ぐらいしか売ってませんから。適当にほっつき歩いていたら、鈴本の向かい、中央通りを渡ったところにラーメン屋がありまして。ちょっとこだわり風だったんで、どれ、そんなに大したもんなんかと試してみたんですよ。
戸みら伊という店で、トンコツベースのラーメンを出してきます。麺なんかもたしかに普通のかんすいの麺ではなくて、茶色っぽい。スープは肉のダシが出ていますからベタつきはしますが、確かに美味い。あの近辺ではかなりいい方ではないかと思いますが、やっぱりラーメンに900円とかは高いですよね。
何だかそこそこの値のするものを、そこそこ堪能して、そこそこ満足して帰ってきた1日でね。明日あたりは消化不良を起こして腹下ししてるかもしれないですよ。