ワシントンナショナルギャラリー展

新美術館へ見物に行ってきた。平日ということもあって存外空いていた。これはラッキー。というより、混んでるのは美術館でなかろうが嫌いなので狙っていったわけだが。
印象派、あるいはその前後を中心に集められていたが、個人的には印象派の絵画は分かりやすくて好きだ。寓意的なことも考えなくていいし、そもそも何を描いているのか理解できない前衛芸術に比べて、純粋な気持ちで楽しめる。
それでも構図や配色の意図は当然考えなきゃならないわけで、マネの「オペラ座の仮面舞踏会」なぞ、あれはどうして左半身切れるようなところで構図を決めたのかというのは大きな問題で、黒ずくめの人たちの居並ぶ中、唯一、緑の衣装をまとった人物の持つ意味はなんだろう。あるいは、2階のバルコニーから足だけ見えている人は一体どんな人物なんだろう。絵画の枠から外れたそれらも当然意味を持っている。持っているから一部分でもキャンバスに現れているのだ。
残念ながら、今の自分には単なる想像以外に理論立てて考えられるだけの知識も経験もない。いつか理解できるようになれればいいな。
青や緑、赤、黄色など鮮やかな色のコントラストで鮮烈なイメージを焼き付ける絵画が印象派には多いが、個人的にはモネのタッチは好きだ。今回出ていた中では「日傘の女性」は見上げる構図から逆光で影になっている夫人の姿と、背後の青い空に浮かぶ白い雲と、そして草の緑との対比が美しくて、しばらく見入ってしまった。
絵を専門的に観ていくつもりはないが、ジャンルを問わず芸術に触れることは人間の感受性を研いだり、あるいは、別ジャンルの芸術へのインスピレーションにもなったりすると思うので、時折、拙いなりに真剣に対峙してくること、そして、そこから何らかの感想を残しておくことは大事ではなかろうか。