キヲウエタオトコ

キヲウエタオトコを見に小倉競馬場都立現代美術館まで行ってきた。
はっきり言うと、名前だけ知っていて(しかも違う意味で)、どういう作品なのかは知らなかったが、まさか映画、それもアニメ映画だったとはなあ…。
かいつまんで説明すると、キヲウエタオトコ、もとい「木を植えた男」というのはフレデリック・バックが同名のジャン・ジオノの小説を読んで感銘を受け、映像化したもの。おフランスプロヴァンス地方の荒野にどんぐりを10万個埋めて緑化を成し遂げた羊飼いのおっちゃんの話で、環境保護を訴え続けるバックにはうってつけの題材だったというわけだ。
間違っても北は札幌から南は小倉まで、あらゆる競馬場で掲示板に載るという偉業を達成した馬の話ではない。
バックのユニークなところは、環境保護や動物愛護を訴える作品を作り続けているが、映画のような大きな仕事だけではなく、パンフレットや、時には子供向けの犬のしつけ方のイラストまで手がけているということだろう。親しみやすいタッチで描かれているので幅広いジャンルで使われるのだろう。その中でも「大いなる河の流れ」の表現は圧巻で、最初見た時にはアニメーションとは思えないぐらいのリアリティだ。水の流れの描き方が巧くて、本当にそこを水が流れている、水中でカメラを回しているかのように思える。いや、水中で撮影した以上に本物のように思える。そこに棲んでいるイルカやカメなどの動物も生き生きとしている。自然の素晴らしさをバックらしく表現した逸品。この「大いなる河の流れ」や「木を植えた男」も含めてバックの作品集を神保町シアターでやっているらしいから暇があったら行ってみるか。