「カリオストロの城」「探偵はBARにいる」

早稲田松竹で二本立てをやっている。「探偵〜」の方は見逃してしまっていたのでぜひ観たかった。で、馬場まで行ってきたわけだ。
早稲田松竹へ着いて驚いたこと。本たぬがなくなっていた!
早稲田松竹のとこは、かれこれ15年来のつきあいであるが、それというのもたぬのおかげだ。開店したての頃から通っていた。その頃はほとんど早稲田松竹には入らなかったなあ。今じゃすっかり逆転してしまったが。
であるから、本たぬがないというのはものすごい違和感がある。
調べてみたら新たぬと統合したらしい。統合とは体のいい言葉で、撤退を転進と言うようなもんである。やっぱり最近のセイガクは麻雀をやらんのか…。
さて、まずカリオストロ。もう何度もテレビでは観ているが、映画館で観るのは初めて。やっぱり迫力が違う。そのために千いくら金を払ってるわけだが、安いもんだろう。
ストーリーについては、もはや何もいうまい。名作だ。銭形のとっつぁんのセリフも名言だ。しかし、ホントこの作品ではとっつぁんのいい人ぶりが目立つよなあ。
「探偵〜」の方は観ている時は面白い。適度に笑いが散りばめられていて、アクションシーンもあり、筋を追っていく楽しさもある。2時間飽きずに観られる。しかし、終わった後に整理すると引っかかるのだ。小雪の演じる沙織はなぜ霧島のコロシに加担したのか?
冒頭の部分で携帯を忘れたから取りに戻ると霧島を一人先に帰らせる。そして沙織が思い入れしながら会場へ戻るシーンがある。後の高田の推理を待つまでもなく霧島をワナにかけるのに一役買っていると考えられる。しかし後の述懐では死んだ霧島を見た瞬間に自分も死んだ、絶対に復讐してやろうと思ったとなっている。そんな短時間でコロッと正反対の思いに返るものだろうか? 霧島を先に行かせたところで「本当にこれでよかったのだろうか」と悩んでいたとしても、なぜ夫殺しに加担しようと思えたのか? そこが一番のナゾである。愛する人のためならコロシも自害も辞さないというような強い性格であれば、なおさら最初に夫を殺すことに手を貸すという決断が理解できないし、そこからすぐにひっくり返るのも理解できない。これは犯行動機にも直結する事件の核心であり、作品を根底から揺るがせかねない。
しかしまあ、そういう堅いことは置いといて。古風な考えの人間くさい探偵を演じる大泉洋を楽しもうや、という作品だろう。松田龍平演じる高田のトボケぶりが最高だ。