本命騎手と穴騎手

馬券を検討していてよく思うのだが、同じ10倍でも買える騎手と買えない騎手がいる。
例えば、内田が10倍としよう。これは買いか消しか?
G1ならまだしも、平場なら100%消しだ。
この1年間で120連対しているが、10倍以上のケースは12回。うち2回はG1(桜花賞安田記念)だ。さらに1着に限定すると70勝中5回となる。
逆に、江田照男の10倍はというと、これは買ってもいい。むしろ、1倍台の江田の方がいろんな意味で不気味なぐらいだ。
リーディング上位の騎手は馬の能力に関係なく人気を集める傾向にある。そらそうよ。岩田3連勝の後なんかは不必要なまでに岩田が過剰人気する(そして飛ぶ)。こういう騎手の場合、単勝オッズが妙に高いと危険なのである。その馬は本来とても勝負にならないようなオッズのはずなのだ。
逆にいつも人気しない騎手というのも存在する。実名は避けるが、この1年間1勝もしていないT騎手なんかはまず10倍を切る単勝オッズにはなりえない。
かと思えば、前出の江田照男のように大穴を持ってくる騎手もいる。
おそらく、騎手ごとに適正オッズみたいなものがあって、適正オッズが安い騎手の場合はオッズが高い馬は消し、適正オッズの高い騎手は少々オッズが高くても買っていいと考えられる。
注意すべきは、適正オッズの高い騎手でもガチガチの本命は消しとはならないということだ。例によって江田照男のこの1年間、単勝3倍を切ったのが5回。2勝して全て3着以内という非常に優秀な成績なのである。
この方法で消せるのは、リーディング上位の普段は人気を集める騎手である。


適正オッズを勝利時の単勝オッズの平均とし、適正オッズの安い騎手を「本命騎手」、高い騎手を「穴騎手」とする。目安は10倍ぐらいでよかろうか?
中でも適正オッズが5倍を切るような騎手は「ド本命騎手」とでも言えよう。
ちなみに現役のJRA騎手で5倍を切るのは、石橋守、小林慎、森、畑端、岩田、池添、蛯名、福永、安藤である。
この1年はオルフェーヴルなど大本命に騎乗する機会の多かった池添はともかく、岩田、蛯名、福永、安藤という面々は納得だろう。
が、その前にいる連中が問題である。彼らは年間に1勝か2勝しかしていない。ので、参考程度の記録かもしれないが、はっきり言えば、彼らは飛び抜けた人気馬に乗らない限り勝てないのである。もちろん、飛び抜けた人気馬に乗っても勝てない可能性は非常に高い。が、それ以上に飛び抜けた人気馬に乗ることが非常に非常に稀である。
その超レアケースに遭遇してしまった場合、どう対処すべきか?
1.勝つ可能性は高いので買う
2.飛ばす可能性に賭けてその馬は買わない
個人的には2だと思う。ここで当たっても配当は非常に安い。しかし、飛ばす可能性は岩田、蛯名、福永、安藤と比較すると格段に高い。つまりハイリスクローリターンなわけで、これは一番買ってはいけない。なので、たとえダービートレーナー矢作厩舎の馬に小林慎一郎が乗っても、単勝1倍台では買うべきでないのだ。(もちろん人気薄の場合も買うべきではない。勝ってないのだから。)
リーディング上位の騎手の場合、オッズが高ければ自動消去でいいが、逆に人気を集めている場合には安易に消すべきではないだろう。そこの見極めはまた別の方法で。
ちなみに内田、横山典武豊あたりも似たような傾向である。
大穴騎手としては、さっきから何度も出ている江田照男のほかに、たくさん勝っているところでは、木幡、北村友、柴山、川島、柴田大、村田あたりが挙がる。特に北村友はこの1年間で50勝以上しているので、穴党にはたまらない存在だろう。
厩舎も同様に分類できて、リーディング上位の厩舎は人気の時のみ買うべきである。
また、年間1勝レベルの厩舎は全く人気がないか、ド本命以外では勝てないかの両極端だ。中でも年間3勝、4勝の日吉、谷原両厩舎の適正オッズ3倍ちょうどというのは特筆ものである(つまり、3倍切るレベルでなければ勝てない)。まあ、それでも年間に4回も3倍を切るレベルの馬を出走させられるんだから5年間で1勝の厩舎に比べれば随分マシな話である。もちろん、どちらの厩舎も買わないに越したことはない。