騎手の腕

昨日の重賞はどっちも見立て通りで久々に気分のいい週末でありました。
メイショウマンボはやはり3歳では抜けているし、古馬に交じっても十分通用するということがよくわかりました。
驚きは武蔵野S。仕事に行っていてミスターVTRで観たので結果は分かっているとは言いながら、直線で完全に塞がれてよく最後抜け出してきたなあと。並の騎手なら慌ててしまうところ、ルメールはやはり違う。あれは完全に騎手で勝ったようなもの。(もっとも包まれない騎手というのがベストではありますが。)
騎手の腕を云々するときによく言われるのが「あいつは追える」というようなことですが、私は違うと思う。勝つために必要なのは追えるとか御せるとかいう技量面もあるんでしょうが、それよりも大きいのは状況判断、度胸だと思うんです。
例えで出すのは申し訳ないんですが、「花の十二期」と言われる世代、つまり福永、和田、柴田大といったG1を勝った騎手がいる中で、競馬学校時代に最も優秀な生徒に贈られるアイルランド大使特別賞を受賞したのは先日引退した増沢騎手だったという事実。その後の成績をみても分かるようにいくら技量があっても勝てないのです。
もちろん、乗り馬の質というのは大きな要因ですが、勝てない騎手に共通するのは、前に行かない、内に行かない(ぎりぎりのスペースを割ることができない)という気力の面です。
間を割れないのは技量がないからという騎手もいますが、怖くて行けない騎手もまま見られます。そういう度胸がなければいくら技量があっても、いくらいい馬に乗っても勝てませんよ。
先行することだって、周りの騎手に気おされて引いてしまう。こういう騎手は裏開催に行くと勝てたりするんですが、肝心のレース中も気を遣いすぎです。勝負事なんだからもっとガッツリ行ったらいいのにと思ったりしますが、人間関係でいろいろあるんでしょう。
その点、特定の外人騎手が勝ちまくるというのは、ここらへんが優れているからなんでしょう。武蔵野Sルメール騎手もそうですし、デムーロ兄弟なんかも気づいたらインべったりで前をこじ開けてきたりと、とにかく勝つための執念が違います。また、それが空回りせず、冷静な状況判断もすごい。ここは経験の差もあるんでしょうが、まだ大丈夫、少しでも開くまでの我慢といった落ち着きは素晴らしい。
だからこそ、馬券を買う側は騎手を重視しなければならないと思うんですよ。