南座顔見世・昼の部

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月曜に続いて今日は昼の部を観てきたよ。

「女車引」
「夕霧名残の正月」
義経腰越状」五斗三番叟
「文屋」「京人形」
曽根崎心中

朝から寒いな。雪が降るかと思ったわ。
「女車引」は何も言うことはないで。見るべきものもないしな。


(話題変わって)「夕霧名残の正月」は今月一番の興味ある出し物かな。何せ藤十郎とともに復活やからな。吉田屋の夕霧伊左衛門を下敷にしてるんは分かるけど、それ以上のものは何も残ってないわけやし、もうこれまでやし、色々と考えたんとちゃうか。
何よりもこれが襲名披露の一番最初の出し物ということ。これが意味することは何か?
昼の最後にある「曽根崎心中」は、藤十郎扇雀時代に親父の2代目鴈治郎と復活させたもの。それ以来、藤十郎の十八番で海外でのものも含めれば上演回数は1000回を超える。
ちなみに、本来は初演だった文楽の方は歌舞伎に触発される形で復活し、こちらも吉田玉男が1000回上演を達成している。
さて、「夕霧名残の正月」。藤十郎は復活狂言を多く手がけてきたが、お世辞にも定着したといえるものは少ない。だが、この出し物に関しては、藤十郎名跡を復活させ、それを象徴させるという意味で定着させたいと考えているんやろうな。
復活狂言、出演者全員にとって初役、しかも復活とは名ばかりで実質新作に等しいこの演目で襲名披露の幕を開けること。これは坂田藤十郎の決意表明ではないだろうか。
内容は、ないよう(苦笑)。夕霧に焦がれる伊左衛門をどう見せるか。その所作がみどころ。夕霧の京屋は、動かないように配慮したんやろw
そして、幕切れにああいうオチが待っているとはなあ…。


「五斗三番叟」は、寝てもたw
寝不足やったのと昼を食った後で心地よくなってもうたんや。
播磨屋の立ち廻りはかろうじて覚えてるなあ。梅玉? そんなん出とったか(苦笑)


「文屋」はとにかく松嶋屋。昼は唯一の出番で、本人も大向こうも気合が入ってるで。
「京人形」の音羽屋親子と合わせて、昼の部で一番みごたえがあるな。この二番は見てよかったと思う。音羽屋が現役唯一、甚五郎と人形の精を演じた役者として意地を見せてくれた。さすがは兼ねる役者の本領発揮というところやろ。菊之助への指導もうまくやってるみたいでよくよく考えたら怪談なのに面白おかしくできている。それでも不気味さは損なわれていない。ナイスプレーとちゃうか。


曽根崎心中」は、もうエエやろw
さすがに見た目で70歳を超えてるのに19歳を演じ続けるのは物理的に無理がある。
ただ、その年齢を感じさせない演技力は素晴らしい。今はまだ演技力で充分に年齢差を埋め切れているが、いつか限界がくるやろ。それが引退の潮時なのか、それとも転換の時なのか。そろそろ伝承ということも考えてやっていかなアカンと思うんや。
せっかく復活させて一代で不朽の名作の名をほしいままにした出し物をまた埋もれさせたらアカン。そういう意味では扇雀とかがもっとしっかりとせな。
まあ今回はご祝儀や。


ちなみにサントリーからの襲名祝いの幕、あれは天満屋の場でのお初の衣裳をモチーフにしてるんとちゃうかと今日思ったわけよ。