村上春樹「ランゲルハンス島の午後」

ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)

ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)

エッセイなどの軽い読み物を無性に読みたくなることが、たまにある。
ここ2週間ぐらい「白痴」を読んでいて何となく予感はしていた。
今日は何となく本屋へフラッと寄ってみて、音楽雑誌のコーナーに行くとSwingJournalも出ているのでパラパラとめくりながら、そのまま出て行くのも、って思うとまあ何か買ってしまうわけである。
ちょうど手軽な一冊を手にして、阪神も負けてるし、実走着差を作る気も起こらないので一緒に買ってきたレコード芸術とあわせて読んだ。
反社会的な人間としては非常に共感できるところが多くて、電車が台風で1日止まってしまった話なんかはとてもうらやましく思った。
まず第一に1日ぐらい電車で足止めをくらっても何ら影響がないという生活。会社勤めなんかをしていると時間に追われるからイライラしてしょうがないだろう。
次に産地直送の葡萄を食べながらのんびりと本だけ読んでいられる時間。うまいもんを食べて好きなことができるというのは最高の贅沢だ。
そして、知らない町を散策できること。予定もなにもないわけだから何も調べていないような町を当てもなく徘徊するということがどれだけ楽しいか。いろんな発見がある。いつもは当たり前に思っていることがそうではないとか、都会では忘れてしまうような季節の移り変わりであるとか、そういったものが。
時計の話とかデパートの話でもそういうのが出てきていたなあ。早い話、僕はうらやましいのだ、そういうあくせくしない生活を送れるのが。