読書

森鷗外訳「即興詩人」

アンデルセンの原作を鷗外が擬古文で意訳した一品。その文体はやはり美しい。が、内容がねえ…。 主人公のアントニオには、この根性なしが!と喝を入れたくなる。 オペラ歌手のアヌンチヤタを巡って友人のベルナルドオを誤射してしまった時。アヌンチヤタがベ…

伊坂幸太郎「モダンタイムス」

発刊されてすぐに買っておいたが、さすがに途中で源氏の流れをぶった切るのもアレしたことなので、ようやく読んでみた。 今までの伊坂作品よりもスケールがでかい。相手が。基本的なところはいつものとおりなのだが、落としどころが違っていて、「ああ、そう…

円地文子「源氏物語」

9月の連休に石山寺へ行った時に資料館を見ていて読もうと思い立ったのだが、さすがに6分冊で時間がかかった。というより、途中まで色んな本を平行して読んでたのがよくない。こういう大作に挑む時は一本に絞って集中しないと。途中で気付いたのでそこからは…

伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」

当然BGMは「Abbey Road」。伊坂幸太郎はきっとこのアルバムが大好きなのだろう。以前にも「ラッシュライフ」で「Here Come the Sun」を繰り返し聴く人物が出てきた。今回はポールまで登場する。 そんな瑣末なことは、どうでもいい。(本人は瑣末なことにこだ…

村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/06/10メディア: ペーパーバック購入: 25人 クリック: 137回この商品を含むブログ (183件) を見る俄ランナーも騙りますよ。 読んでいてなるほどなあ…

プラトン「パイドン」

パイドン―魂の不死について (岩波文庫)作者: プラトン,Plato,岩田靖夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1998/02/16メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 19回この商品を含むブログ (33件) を見る夏競馬の過ごし方。 朝適当に起きる。起きた時点ですでに「朝」…

オーケン

グミ・チョコレート・パイン グミ編 (角川文庫)作者: 大槻ケンヂ,江口寿史出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 1999/07/12メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 109回この商品を含むブログ (167件) を見るふとしたキッカケでオーケンの「グミ・チョコレート・パ…

谷崎潤一郎「細雪」

細雪(上) (新潮文庫)作者: 谷崎潤一郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1955/11/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 26回この商品を含むブログ (107件) を見る物語の最初から終わりまで、ずっと見合いをしている話。 といっても過言ではなかろう。 正直、何…

またまた2本まとめて

最近、読んですぐにまとめるのを怠り気味。虞美人草 (岩波文庫)作者: 夏目漱石出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1990/04/16メディア: 文庫 クリック: 6回この商品を含むブログ (19件) を見る漱石の中でもあまり好きではない。説明的過ぎる。小説なのでこん…

まとめてドン

哲学・航海日誌〈2〉 (中公文庫)作者: 野矢茂樹出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2010/03/01メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (15件) を見る他者とは何ぞやからコミュニケーションまで。そういう論旨を追いつつ、アスペクトについて考…

江藤淳コレクション2 エセー

江藤淳コレクション〈2〉エセー (ちくま学芸文庫)作者: 江藤淳,福田和也出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2001/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見るGW来日前に読み終わっていたのを忘れていた。 なかなか面白かった。ゆえに最近まれにみる…

トルストイ「アンナ・カレーニナ」

アンナ・カレーニナ〈下〉 (岩波文庫)作者: トルストイ,中村融出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1989/11/16メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (7件) を見るかのトーマス・マンをして「全てを含んだ小説」と言わしめた大作。全てを…

高田瑞穂「新釈現代文」

新釈 現代文 (ちくま学芸文庫)作者: 高田瑞穂出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/06/10メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 72回この商品を含むブログ (33件) を見る太古の時代に使ったことのある記憶もなきにしもあらず。あらためて21世紀に読み直してみ…

トルストイ「アンナ・カレーニナ(上)」

アンナ・カレーニナ〈上〉 (岩波文庫)作者: トルストイ,中村融出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1989/11/16メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (14件) を見るとりあえず、あれよ。やたらとスケールが大きそうに見えて、実はあんま…

レヴィ=ストロース「悲しき熱帯2」

ようやく読み終わる。2巻に取り掛かったのが年末で、ちょうど1ヶ月もかかったことになるが、それには理由がある。 最大の理由は、やっぱり民族学には興味を持てないということ。話の内容は面白いが、2つも3つも未開人の話題が続くと飽きてしまう。読んでいて…

村上春樹「羊をめぐる冒険(下)」

羊をめぐる冒険 (下) (講談社文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 1985/10メディア: 文庫 クリック: 10回この商品を含むブログ (80件) を見る酔いどれながら読み終わった。やれやれ。 ストーリーの展開が速くなるにつれて心象風景的な描写は…

村上春樹「羊をめぐる冒険(上)」

羊をめぐる冒険 (上) (講談社文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 1985/10メディア: 文庫 クリック: 14回この商品を含むブログ (106件) を見る「1973年のピンボール」を読んでいたら無性に読みたくなったので再読。 といってその時ほど細かく…

村上春樹「1973年のピンボール」

次の本を読もうと思ったが、琴線に触れるものもなく、電車の中で読むから軽いものがいいかなと思って再読してみた。ただ再読するだけではゲイもないので、丁寧に読んでみた。 丁寧に、というのは、何度か読んでいるので筋はあらかた覚えている。だから展開よ…

三島由紀夫「仮面の告白」

再読してみたがアッー! すごく、(スケールが)大きいです… という戯言はここまでにしておいて。 変態だ。美少年に萌えるなんて、あまりに変態的。三島の場合はコンプレックスからガチムチに対する憧れを育てたといってもいいと思うが、そこで勃たないぐら…

ドストエフスキー「二重人格」

正直なとこ、「?」な終わり方。結局、新ゴリャートキン氏は幻なのか現実なのか分からんし、現実であるならばどこからどうやって産まれてきたのか分からんし。新旧対決は旧の一方的な敗北のままなのか? あの糞鬱陶しい輩に対して何もできないまま終わるのか…

伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」

何というのか、伊坂作品を読み続けてくると次第に展開を読めるようになってきてしまってるみたいなんや。そういう点からみると、4作品の中では「動物園のエンジン」がいちばん楽しめた。「フィッシュストーリー」は最初から作者も分かるように書いてると思…

ベネディクト「菊と刀」

菊と刀アッー、ということを想像してはいけない。 そんなくだらんことから始めるのも申し訳ないが、まあ、ようできとる。ここまでよう他所の国の人間を分析してみたなあと感心する。実際、読んでいてなるほどと唸らされる。しかも、これを来日なしに書いたと…

レヴィ=ストロース「悲しき熱帯1」

今秋にひっそりと亡くなっていたが、大型書店でも「生誕100周年」としかキャンペーンをやっていない。まあ若い書店員なんかは全然読まんのやろうし、名前すら知らんというのも多いんやろ。せめて心ある店員が1人でもおったらすぐさま生誕をやめて追悼にすげ…

武者小路実篤「友情」

本来ならもっと若い時に読んでおくべき本の一つだろう。短いし内容も取り付きやすいのに、なぜか今までページを繰ることがなかった。たぶん、本能的に避けていたのではないかとも思ったりする。 というのも、最初の段落である。文末だけ示して、文章のつなが…

夏目漱石「彼岸過迄」

ワシにとって漱石は読書という習慣を身につけた時分の2つ目か3つ目くらいの扉で、主だったものは読んでいる。中でも「こころ」をはじめとするいくつかは何回読んだか分からんし、何回読んでも面白い。大学に入った頃は「三四郎」なんか何遍読んだか。 最近思…

プーシキン「大尉の娘」

大尉の娘 (岩波文庫)作者: プーシキン,A.S. Pushkin,神西清出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/03/16メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (6件) を見る素朴な筋でスッと入れるというのはいいが、あまりに予定調和がすぎて物足り…

シェイクスピア「じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ」

じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ (新潮文庫)作者: シェイクスピア,福田恒存出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1972/01/29メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (15件) を見るシェイクスピアのすごいと思うところは、400年経た今でも現役であるところ。…

太宰治全集1

太宰治全集〈1〉 (ちくま文庫)作者: 太宰治出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1988/08/01メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (10件) を見る何も立て続けに読み通したわけではない。実を言うと、インフルエンザで寝込んでいたときに暇を持て余…

どんでん「オリの中の虎」

オリの中の虎―愛するタイガースへ最後に吼える (ベースボール・マガジン社新書)作者: 岡田彰布出版社/メーカー: ベースボールマガジン社発売日: 2009/11メディア: 新書購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (5件) を見るそんなもん、お前…(絶句) …

ヘミングウェイ「ヘミングウェイ全短編2」

勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪: ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)作者: アーネストヘミングウェイ,Ernest Hemingway,高見浩出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1996/06/28メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 31回この商品を含むブログ (39件) を見…