伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」

何というのか、伊坂作品を読み続けてくると次第に展開を読めるようになってきてしまってるみたいなんや。そういう点からみると、4作品の中では「動物園のエンジン」がいちばん楽しめた。「フィッシュストーリー」は最初から作者も分かるように書いてると思うし、ポテチにいたっては上杉の話とか誕生日が同じとかいう時点で完全にタネは明らか。うーん、いまいち。長編の方がうまい作者ではないかなとも思うけど、ちょっとがっかりなほど浅いな。
メッセージ性という点では非常に分かりやすくていいとは思うが、分かりやすすぎるのは底が浅い裏返しでもあるんよなあ。
ところで、これ、文庫か単行本にするときに無理やり「エンジン」つながりのいたずら加えてないか? 単行本は読んでないが、わざわざ「円陣を組んで」とかいう表現を使う必要はなかったやろ。ロータリーエンジンに始まって、円陣からエンジニアになって車がやたらと登場する物語で終わる。そういう流れにしたかったんちゃうか。
もっとひどかったのは、文庫版の解説。アレで金もらえるんならワシでも書ける。あそこまで小学生の読書感想文みたいな解説は初めてみた。肩書きは「ミステリー評論家」とあるが、よっぽど程度の低い文章力でもなれる職業なんやろうな。つか、金貰って書いてる文章で、本編のマネしたオリジナル続編を載せるなっつうの。どこの同人誌やねん。紙上オナニーは冬コミで金払ってやっとけよ。
という解説の後味の悪さが「この一冊は駄作かなあ」感をより一層高めている気がするんや。(新潮社の)責任者、出てこーい。