またまた2本まとめて

最近、読んですぐにまとめるのを怠り気味。

虞美人草 (岩波文庫)

虞美人草 (岩波文庫)

漱石の中でもあまり好きではない。説明的過ぎる。小説なのでこんな展開になるぞというような文章が多い。心理描写を通り越して、その描写をした理由までわざわざ説明してくれている。読み違えることは少ないだろうが、読んでいてくどく感じる。それでいてラストの展開のドタバタ感。あまりに急で、肝心の本人は蚊帳の外に置かれていて、とってつけたという具合に思える。
なるほど、こういうことを考えながら構成していけばいいんだなというヒントにはなるが、ここまで書き連ねると面白くなくなるという見本でもある。
話の内容自体はそれほど大したもんでもないんだがな。
思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

これは帯で買わせる商売。うまい商売とは思うし、こういうちょっと硬めの出版社において「東大」「京大」というネームバリューの大きさ。といいつつ、騙されて買ってみた口なので何にも言えないが(笑い)。
しかし、これは今の学生には読んでほしいなという一冊。
いつまでも「教えられる」という立場にいるのではなく、「学びにいく」という姿勢をとらなきゃいけないよとか、そういった当たり前のことから、「朝飯前」というのは「朝飯前にもできる」という意味ではなく「朝飯前だからこそ」という意味であり、朝飯を食う前が一日で最も効率よく思考できる時間帯だということまで(もっとも、だから朝飯を遅らせてブランチにしたら朝飯前の時間がたっぷりとれますよというのは詭弁であると思うが)。面白い話が多かった。
中でも興味を引くのは「一度寝かせる」という話。思いついたことを一心不乱に考え込むのではなく、メモをとったりして一旦忘れてしまう方がよりよい結果につながるという内容。これはうなずける。
よく一つのことだけに取り組んで、どこかでひっかかって前に進めないでいる人がいる。これは思考が行き詰まりに来ているのだが、本人はまるで気がついてなくて、目の前に壁があるのを何とか通り抜けられないだろうかともがいている。そういう時はいっぺん別のことを考えてみる。そうすると、意外なところからヒントがこぼれてきたりするものである。
たとえて言うなら、一つのレースを検討していて行き詰まりを感じたら、別のレースをみてみることだ。すると最前検討していたレースの中でひっかかりを感じていたキーとなる過去のレースの序列が見えてきたりすることがある。(また競馬でたとえ話かというツッコミはなしよ)
かといって、ここに書かれているメモとかノートの実践については、オレはしない。しんどいもん。メモをとって活用できる人間というのは尊敬できるが、人には向き不向きというのがあって、メモをとるという行為自体、性に合わんという種類の人間もおる。「つんどく法」ではないが、たまに思い立って書き残しするぐらいが自分にはちょうどいい。
というより、しばらくして忘れることは、本当に大した内容のことではないというのが真理であるように思う。