太宰治全集1

太宰治全集〈1〉 (ちくま文庫)

太宰治全集〈1〉 (ちくま文庫)

何も立て続けに読み通したわけではない。実を言うと、インフルエンザで寝込んでいたときに暇を持て余して読み始めたから、かれこれ10日ばかりかかっているわけである。
「晩年」の最初の方は面白いなあと読んでいたが、途中で飽きてきてしまった。悪い癖よ。ただ、太宰の初期の短編は気負いすぎているところが空回りしている感じがものすごくして、読んでいて痛いというよりも恥ずかしい気持ちになってくる。「虚構の春」とかね。分からん。理解できん。
思えば、ワシがまだ弱冠二十歳ぐらいの頃は、太宰にはまっておって、普段読まんような本も読んでおったわけだ、麻雀やったりダビスタやってる合間に。その頃とは感覚がだいぶん異なってきたということなんやろうな。今、読み直すと「ふざけんなコノヤロウ」とすら思ってしまうもんもある。また、ものすごく共感してしまうもんもある。いずれにせよ、ここに出てくる太宰と思しき主人公は皆、見栄っ張りでかっこつけて、それでいてかっこ悪い。三枚目の役どころというのか、決してヒーローではない。ものすごく情けない。だからこそ共感するところもあるのかもしれない。