ベネディクト「菊と刀」

菊と刀アッー、ということを想像してはいけない。
そんなくだらんことから始めるのも申し訳ないが、まあ、ようできとる。ここまでよう他所の国の人間を分析してみたなあと感心する。実際、読んでいてなるほどと唸らされる。しかも、これを来日なしに書いたというから驚きである。
細かいことを言い出すと、例えば、義理とか人情とか、ものすごく特定された意味でしか使ってないので、日本人の感覚とはズレが生じているところなどが見受けられる。しかし、それらは些細なことで、日本人論の本質には大きな影響がない。目的が日本占領においてうまく日本人をコントロールすることに置かれているため、その目的から外れた部分については省かれていたり、甘いところもあるが、目的に向かって書いたものなら当然だろう。
しかし、ワシにとっては、あまり役に立たないかなという気もする。少なくとも、すぐに使えるとかいうことはないし、そういう時機がやってくるんかねえとさえ思う。ムダではなかったけど。