マーク・トウェイン「不思議な少年」

不思議な少年 (岩波文庫)

不思議な少年 (岩波文庫)

惹きこまれるように読んだ。残酷な物語だが、リアルだ。おとぎ話めいた作りだが、リアルだ。サタンの一挙手一投足にグイグイと魅せられる。これが、現実だ。
人間は、愚かで醜くてどうしようもない。口先だけのチキン野郎で、見得のために争い、反省したフリでおんなじことの繰り返しよ。
今、まさに思う。働いていて、組織というのがバカバカしくて、政治なんかを見ていても同じで、それは万国共通なのだ。
たとえば、アフリカの難民たちは食べるものにも困っています。募金して助けてあげましょう。
ホンマか? 募金したら助かるんか? そのカネはどこへ行く? 「飢えている」はずの国の飢えていない人々の中性脂肪コレステロールになっていくだけかもしれないのに。ホントに人助けをしたかったら現地へ乗り込んで、自分の手でできることをしてみろ。できへんやろ。口先だけのしょうもない人間や。チェッ。オレはしない。しんどいもん。
そんな下衆なことを考えながら一気に読み通したわけだ。最終章になって、突然「今までのは幻だ」とか夢オチみたいな内容になって、アレ?って思ったら、解説にもあるように未完成で、その最終章の部分は後から編集者によって継ぎ足された。なるほど。飛躍がすぎるわけだ。最後はいらないんじゃないかって思ったりもする。
その他に、編集者によって大幅にカットされた箇所があったりと問題の多い作品らしい。が、そんな瑣末なことはどうでもいい。誰がカットして、原典から大きく外れるだとかそういうことが問題なのではない。この作品で、提起されているテーマが重要なのだ。極端にいえば、マーク・トウェインが書いたかどうかが問題なのではない。作品そのものに意味があるのだ。誰がどうしたからいいとかよくないとか、それこそこの作品でさんざんにあげつらわれていることじゃないか?

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