二人の生誕100年

小澤征爾サイトウ・キネンショスタコを今さらながら買いに出かけた。
誘惑材料がたくさん。
まず、ヴァントのSACDが値引き。1枚なら10%、2枚以上なら15%オフッ!
前からほしかったというのもあり、5番だけ購入(あとは確か4番と8番を持っていて、9番は普通のCDを持っていた記憶があったが確信はなかったので)。

ブルックナー:交響曲第5番

ブルックナー:交響曲第5番

これは別の録音は持っているけど、伝説の名盤やからね。
一度聴いてみないと。他の録音(89年のNDR)と比較も。
で、そこで見つけたのが
朝比奈隆生誕100周年 ブルックナー交響曲全集」たとえば、これやね。実は、朝比奈の5番は持っていないのでかなりほしかった。けど、よく考えてみれば、全部ほしい(笑い)。ならamazonでまとめ買いしたほうがええかもなあって。1番から9番まで大フィルで揃ってる。
ヴァントと朝比奈では全然違う演奏になる。まず間違いなくヴァントの方が標準的な演奏なんやろうけど、僕個人としては朝比奈の方が好きである。
ドイツの作曲家、特にベートヴェンとブルックナーにおいては、朝比奈隆の重厚さがよくマッチする。個人的には「世界一のブルックナー指揮者」と思う。特に7番の聖フローリアンのライブ録音はもう言葉にならない。静謐と荘厳。民族や宗教の壁を越えて再現されたブルックナー。それはたびたびここでも書いてるけど。間違いなくウチで一番聴かれているクラシックの1枚である。
まあほっといてもすぐに全部買ってると思うわ(笑い)。しかもすごいことに全部SACD5.1ch!。ウチのシステムが有効に活用される。グフフフ…。早くフロント2本を買い換えたいけど、まあそのうちや。


で、朝比奈隆生誕100周年である。実は、今日、初めて気がついた。それほど申し訳程度にすら話題になっていない。大阪ではひょっとしたら、と思うけど、日本が生んだ大指揮者である。今でこそ小澤征爾であるが、10年前なら日本人指揮者といえば「朝比奈隆」であったわけである。
さびしいよなあ。まあそういう「アニバーサリー」ものにされないところも僕好みでもあるんやけど。ポニーキャニオンにはやられたけどな。
かたや、「世界の大指揮者」カラヤンも生誕100周年で、こちらはちょっとしたクラシックのコーナーがある店なら必ず「カラヤンコーナー」が設けられている。グラモフォンからも100周年記念シリーズが出されている。

ユニバーサルからはこんなものまで。もっともこれは僕が一番買いたくないタイプのCD。ハイライトで作品の本質もくそもない。こんなんで何が分かるというんかと。
競馬でいうと最後の直線200mだけ、小説でいえばクライマックスだけ抜き出してみましたというようなシロモノ。カラオケのメドレーとちゃうんやから…
しかし、それがカラヤンにはぴったりと言えば失礼かもしれんけど。とにかく出せば売れる。生前からそうで、レコード会社は何でもいいから「カラヤン」とつけて出せば売れ行きが全然違うわけや。
確かにカラヤンが振るとベルリンフィルウィーンフィルもよく鳴る。ものすごく華やか。けど、全てがその調子で、時には厳かにいきたいところまで華やかになってしまう。
それが万人受けするんかもしれん。誰も暗い気持ちになりたくて音楽を聴くわけではないし。そら明るい気持ちになりたいのは分かる。けど、それは単なる「現実逃避」でしかないんや。現実には暗いところもある。けど、そこを避けて通るわけにはいかんし、何とかせにゃならんのや。それを「こういう時はとりあえず明るいところへ行って」ってやってたら何の解決にもならん。正面から向き合え。
と、カラヤンに言っているわけではなく(当然である)、レコード会社とかにな。
もちろん、カラヤンは嫌いである。けど、やっぱりええと思うもんはええと素直に認める。例えばウチにあるのでは、「惑星」であるとか「ツァラトゥストラ」であるとかああいうのはいい。派手なのやね。
大御所であるからベートーヴェンもいいと思うが、これはやはり他の指揮者の方が上ちゃうかなあと思う。何か上っ面だけの感じがしないこともないんよね。


「裏と表」。「陰と陽」。
これはどっちもなくてはならないし、表裏一体になってはじめて世の中というのは成り立つ。どっちも欠けてはいけない。
世の中がすべて朝比奈隆みたいに重厚になったらどよーんとするやろうし、カラヤンみたいに華だらけになってもうるさくってたまらない。
要はバランスが大事なんやと思う。どっちかへ偏ったら修正しながら生きていく。それが人生で重要なことなんやないかな。偏食したらアカン。まずは試してみることや。それで方向修正していったらええんや。


久しぶりに長文を書いてみた気がするなあ(苦笑)。