朝比奈隆「ベートヴェン交響曲全曲集」

ベートーヴェン 交響曲全集

ベートーヴェン 交響曲全集

久しぶりにじっくりと音楽鑑賞なぞしてみた休日の午後。
ぼちぼち品薄になっている店も出てきたので先に買っておいたけど、忙しくて全然聴くひまがなかったんよ。
大フィルではなく、もう一つの手駒・新日本フィル。このオケは錦糸町のすみだトリフォニーを拠点にもしているので個人的には金銭的に余裕があればシーズンシートを購入してもええかなとは思ってる。一人ひとりの技量は大フィルより上やろうね。けど、オケは「ハーモニー」であり、一人うまいよりも全体のまとまりが大事。
まず3番から聴いてみた。
言葉にならない。
いや、むりやり言葉にしてみよう。こんな音が出るのか、このオケは、そして朝比奈隆の指揮は。大フィルでの3番ともまた違う。どちらがいいとかそういう問題ではない。
もちろん、その時の朝比奈隆の考え方もあったと思う。しかし、おそろしいまでにタメた演奏。ただ遅いだけではない。ひとつひとつの音に息が吹き込まれている。魂からの音。そういうと大げさかもしれへんけど、噛みしめるようにじっくりと再現していく。受け止める側はどうや? これは気楽に聴けるようなもんではない。「よし聴くぞ」と体勢を整えて聴いていかないと。失礼や。BGMにはできない。一音一音に意味があるのやと思う。そこは素人なので分からん。しかし、全体の雰囲気として流れとして感じられるのは、圧倒的な荘重さ。河の流れに例えれば、独仏国境を流れるライン川のゆったりとしながら存在感を示すそれに似ている。ドナウ川ではなく。
残りのディスクもおいおい聴きこんでいきたい。しばらくはこれでいけるな。