笠松に行ってきました

今回、もっとも収穫の大きかったイベント。
実家からそう遠くないにも関わらず、行ったことがなかった。「近い」というわけでもなく、「旅行」とまではいかないがために放置されていたのかもしれない。ここら辺、近すぎず遠すぎず、しかし駅からは遠いという浦和にも似ている。
車で行ったが、電車も便はよく、JR岐阜駅から名鉄線に乗り換えてすぐ。笠松駅からも近い。まあ朝に出れば通勤割引が適用されて電車で行くよりも安上がりなんやけどね。

中央、公営問わず、競馬場の近辺はわりと道路なんかが整備されているケースが多いけど、笠松は大部分が手を入れていない。「手を入れられない」というのが実情なのかもしれないけれども、駐車場から競馬場入口までの小路はちょっとした森林浴みたいで風情はある。夏場に行くべきやね。暑くても。

「お盆シリーズ」ということで入場無料。仮に1000人入場したとして、1000人×100円=10万円。まあ1日だけのサービスと考えたら大きくもないかもしれんけど、このシリーズ期間中ずっと無料やったら結構でかいな。


入ってすぐにオグリキャップ銅像。ここで記念写真を撮っているファンも多く、笠松随一のフォトスポットかもしれない。
が、捻くれ者のフヂワライ先生はもっと別のモノを撮影する。

自動発売機。今や主流のバーコード方式に切り替わっている。しかし、投入金額を全額購入または精算ボタンを押してから馬券が印刷されて、そこから出てくるまでに結構な時間がかかる。行列ができていることはなかったけど、あと5倍ぐらい客が来たらまあ後ろに並んでるとイライラするやろうね。もっとも、そんなに客が入るという状況がありえないが。そこが悲しいところでもある。

中継用カメラ。場所がないからといって旧スタンドと新スタンドの連絡通路に設置するなよ。

1・2コーナー方向。この奥に厩舎エリアがあり、ちょうどそこから出走馬が移動してくる途中。

3コーナー方向。向こうに見えるのは木曽川を渡る名鉄線の鉄橋。馬場内は雑草が生い茂っていて手付かず。というより「手を付けられない」んやろうね。

4コーナー。主要距離(というよりほとんどこれだけ)の1400mスタート地点でもある。他の距離は、1600mが主な距離だが、これは3コーナーのポケットからの発走ですぐに4コーナーを迎えるため危険。中央なら間違いなく廃止のコース。
あとは向こう正面中間から発走の1800m(これもスタート後すぐに3コーナー)、2コーナー直後から発走の800m、1900m(1400mと並んでまともなスタート地点)、それに1400mと同じスタートを使う2500m。何せ距離設定が少ない。まともなコースで実用的な距離というともう1400mか1900mしかない。

珍しいのが、馬場内にパドックがある。しかし考えてみればものすごく合理的な方法でもある。
狭い土地にできるだけの施設を備えようと思えば、馬場内をどう生かすかというのは大きい。中央や大井のようにある程度の集客があってスタンド以外にも観覧席を設けるのであれば馬場内は開放するのがいいが、当然、警備や馬券発売のために人件費がかかるわけである。ならば開放しないのが自然な流れではあるが、なにせ競馬場で一番遊んでいるスペースも馬場内。
笠松のように小さな競馬場なのでできることとはいえ、有効活用という点ではパドックを馬場内に設けるというのはその分、スタンドエリアが広く使えるわけやからね。
それにレースが終わってそのままスタンドからパドックが観られる。「競馬健康法」(中央の場合はスタンドとパドックを往復するので結構な距離を歩く)はできないが、便利といえば便利。


申し訳程度に旧スタンドと新スタンド。思うに、新スタンドなんか作る必要なかったんとちゃうんかと。特に夏めちゃくちゃ暑かったり、冬めちゃくちゃ寒い土地でもないし、ガラス張りの特別席なんかいらんよなあ。異様に浮いた建物になってる。
実際、旧スタンドで1日観戦してたけど、風が通るのでそれほど暑くて死にそうというほどでもなかった。水分補給は必要ではあるけど。
馬券の話はもういいでしょう。9レースやって1レースだけ取ったけど、それが勝負レースで交通費が出ました。以上。


笠松競馬の課題点。
かなり多いと思う。
一番は土地問題。必要最低限しか手が入れられていないのもおそらく自前の土地ではないからと思う。カネはあるやろ、新スタンドを建てられてるんやから。
買い取るには広すぎるし、うまく地主と折り合いをつけていくしかないんやろうけど、そもそも何で借地のまま競馬場にしたのかがよう分からん。せめてオグリキャップの時とか、そこそこ黒字が出ていた時に少しずつ買い取っておけよって。
こんなことで競馬場が1つなくなると思うと非常に残念や。決して赤字なわけやないんやからね。その辺が北海道や岩手、高知なんかと大きく違う。自分とこだけ努力したらええというもんでもないから。
地主さんも地域活性化とかに貢献してる(雇用の確保とかね)ことを考えたらちょっとは譲歩してほしいところ。
次は、番組。とにかく距離のバリエーションが少なすぎる。だから無理やり1600mを設定したりしてるんやろうけど、行った日なんかは1レースの新馬戦(800m)以外すべて1400mのレース。これでは面白くない。馬券は当てやすいんやろうけど。ただ「当てやすい」から配当も安い。馬複なんか200円は当たり前。かといって1万円単位で突っ込んだらすぐにオッズが下がる。これでは「3連単以外買うな」と言っているも同然。
距離だけやない。
この日は日曜日。最強のライバル、JRAの開催があるわけである。なぜ日曜日に開催するかなあと。どうせやるんなら岩手県競馬みたいにJRAとの相互発売をやれば多少でも手数料が入るやろうに(システムとかの問題もあるんやろうけど)。
さらに、金沢でも開催をやっている。これはどういうことかと。お互いに。ただでさえ中央に持っていかれる客を、岐阜県と石川県と隣接した自治体同士で奪い合いするなよと。これを「土曜日は金沢、日曜日は笠松」と棲み分けしたら多少でも客が増えるやろ。確かに金沢ははくぼ開催で、後半2レースを笠松でも売っている。けど、こんなとこ大概の客は朝から来てるわけで、それを二分されるんやからあんまりメリットないよなあ。なんでケンカみたいな組み方するかね。
で、番組編成での最大の課題は、「JBC開催」。
笠松といえば公営でも名門。「名馬、名ジョッキーのふるさと」と銘打っているようになぜか育つ。公営でも知名度は抜群である。
なのにJBCは開催できない。これはほぼ間違いない。
馬券発売とかの問題ではない。
幅員が20mしかないのである。フルゲートは10頭。10頭立てでは交流G1はできんわな。中央5頭に地方5頭。地方も南関3頭に地元笠松・名古屋で1頭というわけにはいかんから2頭。他地区の枠がないやん。
距離自体は名古屋でもやっているように、スプリント1400m、クラシック1900mで何も問題はない。
とにかくフルゲートの頭数が少なすぎる。
だからJBC開催ができない。
同じ問題を抱えている競馬場は多いと思う。だからこそ「持ち回り」といいつつ同じ競馬場で繰り返し開催をせざるをえないわけである。
JBC自体に問題があるとも言えないことはない。だってねえ、ハナから南関(というより大井)と盛岡以外は開催できんようなもんやねんから。やる前からフルゲートが少ない競馬場ばかりというのは分かっているわけなんやからね。
じゃあ、予選やって、決勝戦やれよと。JRA枠はいいとして、地方枠でケンカになるんやから、いっそのこと1ヶ月ぐらい前に笠松なら笠松に、登録してきた連中を集めて3つぐらいレースを組んだらええんや。で、上位2頭か3頭ぐらいに決勝進出権が与えられて取り消した場合は地域性も考慮して繰り上がりと。それで南関所属馬ばかりになったら、それはそれでしゃあないし、それを打倒できるように馬を育てて来いよと。馬券を買う方にしてみても、「こいつは○○競馬の馬やから消し」というのは推理として面白くない。そうやって切磋琢磨していくのが本来のあり方ではないのか? それで「強い馬が育てられません」というんなら最初から出なければいい。出てきてもマイナスのアピール(○○競馬は弱い馬しかいません)しかできんわけやから。
どことは特定せんけど、というより大概の公営競馬はそうやけど、「なあなあ」でやり過ぎている。生活のこともあるからそういうのもやり方の一つかもしれんけど、競争のないところには強い馬は育たへんよ。南関の馬が強いのは、設備もあるやろうけど、ちゃんと「競争」してるからやろ。大井には負けたくないとか。船橋なんか設備も大したことないのにキッチリ結果を出してるわけやから。
笠松が「名馬と名ジョッキーのふるさと」となるにはそういう背景もあったんやろう。かつては。今は知らん。が、「将来に見通しが立たないから」と中央へ転進する騎手もいるぐらいやからね。もう少し危機感は持たなアカンと思う。


と厳しいことばかり書いてきたけど、競馬場の雰囲気はものすごくいい。
手を入れてないことで逆に自然に溶け込んでいる数少ない競馬場でもあり、パドックやレースの観やすさ、食い物屋の数、種類。なかなか味が出ている。
「もう1回行く?」と問われたら間違いなく「行く」と。
だからこそ、番組とかそういうところを見直ししてほしいんやね。