河竹黙阿弥「鼠小僧」
- 作者: 河竹黙阿弥,河竹繁俊
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1928/05/15
- メディア: 文庫
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まず第一に冗長な場面が多い。特に三幕目の夢オチなぞ、全体の筋からしたらあってもなくてもどうでもいい。何ら影響力を及ぼさないようにも思える。花魁の為所がたくさんあるとはいえ、それなら別にこの芝居でなくてもよい。もっと華やかなものはいくらでもある。
謂れなき罪で囚われている者たち、これはほとんどが鼠小僧所縁の者たちであるが、一組、つながりの薄いものがある。大詰めで無理やり「つながる御縁」と言わせてみるがかなり強引である。
そういったところをズバズバと刈り込んでいくと、今度は素っ気のないものになりがちで、しょせんは初春芝居かというところですわな。筋立てよりも適度に役者の技量をみせて、適度に立ち回りをして、最後はめでたく締める。