巡る

飲みさしのワインを放っておくわけにもいかず、とりあえず栓を買いに行こうと。有楽町のハンズへ出かけてみたわけですよ。プランタンの隣で明らかに渋谷あたりと客層が違う。何と言うかお上品(笑)。売ってるもんはそんなに変わらんねんけど。差したあとに別売りのポンプで真空にもできるというのを買ってみた。というか、帰ってきてから実はポンプが別売りなんを気付いたんやけど。
で、同じコーナーに、というかそこがもうワイングッズコーナーなわけやけど、ソムリエナイフが売っていた。悔しいので買ってもた。もう1本試してみるか。缶切りのオマケみたいなコルク抜きやからアカンのや、と道具のせいにしてみる。が、本当にテコの原理を応用して開けるんならウチにあるのでは無理やと思う。ソムリエナイフでアカンかったらワシには縁のなかったものとワインにはサヨウナラ。
さて、そこまで出かけていったわけで、久しぶりにザギンでシースー、とはいかんがメシでも食って飲みにいくかと。飯は特筆すべきものなし。
コーヒー。十一房珈琲店。これはもうプランタンのすぐ近所で、飯屋フロムUSA探索中に発見して、食後の一杯と決めたわけであるが、ドアを開けて入店。すぐに焙煎機が備え付けてあり、コーヒー豆を煎る香りが漂っている。薄暗い照明にビッグバンドのズージャーが流れる。スピーカーはおそらくB&W。ストレートコーヒーも種類が多く、10年寝かせたビンテージものもあるという。ま、最初なのでブレンド。これが店のレベルを知るのにベスト。ライトからシティ、フルシティ、シムシティ、フレンチ、イタリアンと深さで5段階に分かれている。フレンチにしようかと思ったが、これだけ650円と50円高いので日和ってしまう(笑い)。結局、フルシティ。この区分、よく難波で行っていた蘭館を思い出す。あそこはシアトル、シティ、フレンチやったね。よくフレンチを飲んでいたなあ。
今回頼んだフルシティ。けっこう深煎りでズンと来る。もちろん、ネルドリップというのもあるやろうけど、割と好みである。苦味が強いが濁りは少ない。うまい。じゃっかんぬるいのが気にはなったが。そのネルドリップ。新しい発見。ここの店は、ポットからの湯を「の」の字を書くように垂らすのではなく、ネルのほうを動かす。なるほど。ポットを動かさないことでお湯の垂れる速さを一定に保つことができるわけである。これはまた熟練の技術が必要と思うが、一理あるわな。コーヒーを淹れるときに粉がもこもこ膨らんできて泡を出すように淹れる、というのが通説になってるけど、別に泡をたてることが目的ではないし。
落ち着く空間で非常によろしい。ザギンにしては600円というのは安いと思う。
さて、その後はハズレ続き。バーを2軒ハシゴしてみた。ハシゴするつもりはなかったが、1軒目が非常にハズレで、チャージで出てくるきゅうりの漬物5切れが1000円もしやがる。そのくせ、出てくるカクテルは大した味ではない。というか、作っているのをみたら、ウオッカを流し込んで、ジンジャーエールを流し込んで、適当に混ぜて終了。ちょっと待て、それならワシでも作れる。そんなんで1000円もとるのはボッタクリやん。もちろん2杯目なんか頼む気すら起きない。某作家が生前(といってももう60年近く前だが)によく来て「夫婦善哉」の作者の写真を撮ろうとしてモメたという有名なバーだが、客層もその某作家の時代ぐらいのジジババばっかりやし、名前だけやろ。
2軒目も概ねボッタクリ価格。少なくとも船橋価格に慣れた身としては、わざわざザギンで飲む理由が全く見出せない。半分以下の価格でもっとうまい酒が飲める方がよろしい。しょせんザギンなんてのはネームバリューとショバ代の世界ということ。まさにスイーツ(笑)の好むところよ。非常にコストパフォーマンスの悪い一日でした。