2010年初雪にして最後の雪

夜になると実家のワシの部屋(だった)の窓を開ける。
田舎のことなので目の前に隣家の壁ということはなく、広々とした空間が広がっている。夏になるとそこから屋根に降りて寝そべりながら星空を眺めたりしたもんだが、冬には湖西の比良山地を見られる。ちょうどびわ湖バレイのロープウェーが見えて9時とか10時ごろはちょっとした夜景見物にもなる。もちろん、そこがスキー場であるからには、冬になれば雪が積もっているのは当たり前のこと。昼間でも墨染め色の景色に上の方だけ白くなっているのを見ると、薄汚れたワシの心も多少は洗われるような気持ちにもなるもんである。
久しぶりにその窓から夜中の比良山を眺めた。2009年もあと数時間で終わろうかというのに、山は10年経っても20年経っても変わらない。相変わらず冷たい冬風が顔に吹きつけて暖房で上気していた頬を気持ちよくクールダウンしてくれる。
はあ、15年ぐらい前はこうやって夜風を感じながら、ワシの秘蔵のソニーラジオで無理やり札幌の放送局にダイヤルを合わせてKANさんの番組を聴いていたんやなあと思い出す。どんだけワシ暇やったねんと。今ではそんなんする気力も起こらん。


そんな夜が明けて、年も明けた。雪が降るかもという予報だったが全然そんな気配はなく、ほな帰りに京都へ寄って初詣でもしていこかと余裕をかまして全日本実業団駅伝なぞを見ておった。
今年のニューイヤー駅伝は最後まで面白くて、2集団ぐらい、5社以上が集団でゴールに入ってきた。特に密集していたのが10位前後のとこやろう。道中は赤城山とかから吹き降ろしてくる北風が強いので集団は縦に連なる。前を走っている選手を壁にして風の抵抗を少なくしようとしているのである。だから後ろの選手の方が余力を残せる。しかし、5人も6人も連なると後ろの方はそれだけハンデを背負うことになる。そら5馬身も6馬身も後ろから行ったら仕掛けどころを早くするか先行馬以上の脚を使ってラストスパートせにゃならんのやから。
優勝チームが入線してきたので途中を省かれてしまった(実はここが一番おもろいのになあ)が、ゴール時には集団から2頭がやや抜け出した具合で走ってきた。九州産の旭化成関西馬大塚製薬。紺色と水色の決戦。旭化成は前半が大ブレーキで20個ぐらい追い込んできてのスパート。大塚製薬も1個でも上の着順を獲りたい。半馬身ぐらい旭化成がリードして集団から抜けてきたが、大塚も食い下がる。最後に軽く上り坂がある。ここで旭化成が垂れてしまう。クビの上げ下げでちょうど下がりきった大塚が先に入線。100キロ走って同タイム。えぐいよな。
テレビの前で見ていると「何でもうちょっとやのに、もっと全力で走らへんねん」とか「10mだけでも死ぬ気で走れ」と思うかもしれんが、無理よ。もうすでに死ぬ気で走っとる。あれ以上、スピードは上がらへんねん。スプリント能力云々いうけど、あそこまで行ったら単に足が動くかどうかだけよ。半完歩でも前に上げられるかどうか。もうそれだけよ。そこをビュッと出し抜かれたらもうお手上げ。どもならん。アンカーの皆さん、ご苦労さんとしかいいようがないよ。


見終わって、さて出立かのうという段階になって、新快速に乗って京都駅まで行ったはいい。
降雪のため米原・名古屋間で――
やっぱり降っとるんかい。
ウチは全然やったけど、やっぱり湖北はアカンなあ。
後ろの予定が詰まってるわけでもなし、初詣して走ってる新幹線に乗り込んで戻ってきたけど、まあ白いこと。白い〜白い〜。
東京におったらほとんど雪も降らんし、ましてやツモったなんて最近とんと聞かんし、これで今年の雪は見納めちゃうか。
(その後、記録的大雪で雪かきへの動員が決定する)