ローカルでNを突くような根性のある輩はおらん

馬券が全然当たらんので、ワシはふてくされて芝生の上で寝転がっておったのだ。
たまに起き上がってはビールをちびちびやり、「馬券が当たりますように」とあたりめを食ったりしながら。
メインレースもハズれて、もうどうでもようなって、空を見ていた。カラスが飛んでいる。1羽や2羽ではない。集団で輪を描くようにしている。
ワシは残り少なくなったビールを舐めてまた寝転がった。馬場内のターフビジョンでは新潟の最終レースを放映している。輪乗りから各馬がゲートインしている最中である。ゲートイン完了。ポンと飛び出たN舘が逃げる。ようし。そのまま、そのままぁ。
そのとき事件は起こった。
スタンドの上方を舞っていたカラスがワシのあたりめを狙ってやってきた。群れをなしてつつきにくる。
やめてくれぇ。頼むからつつかんといてくれよ。おとなしくしてろコノヤロウ!
それでもつつくのをやめない。そのうち、ビールにも口ばしを出し始めた。残っていたビールがカラスの群れに飲み込まれていく。
残してくれぇ。頼む。何とか残してくれ。ああ、飲まれてしまった…
そして、ワシの馬券もハズれてしまった…