ゴヤ展

都心へ出たついでに上野へゴヤ展見物。美術館は平日に限る。土日なんか人を見に行くようなもんだ。
「着衣のマハ」が目玉。まあ、いいよねという気はするが、すごくいい!とは感じなかった。好みの問題なんだろう。影の使い方なんかはすごくよくて、着物の質感なんかが伝わってくるようだ。そういうリアリティをみてしまうので、18世紀の絵にしっくりこないのか。
しかし、ゴヤぐらいになると、宗教画の説教めいた寓意だとかが少なくて自由な雰囲気が感じられる。諷刺画がたくさん出ていたが、そういう言論の自由が確保されてきたあたり、近代化だなあと実感できる。スペインの独立戦争を描いた絵もそうだが、美術鑑賞と歴史とは切り離せないね。その作品の成立した背景が分からないとまるで意味不明な絵もあるし。
個人的には、「アンダルシアの散歩道」の色使いがお気に入り。腰巻の赤色がいい塩梅にアクセントを効かせていて画面を華やかにしている。ガラの悪そうなオニイサンに囲まれているのに無邪気に「あすこにも仲間の悪者がいてよ」と連れに笑いかけている女のこの先が気がかりだ。新宿ゴールデン街の裏あたりでチンピラに誘拐されそうな感じである。