枠順について

競馬の着順を左右する要素はたくさんあるが、その中でも枠順は大きなウェイトを占めるだろう。
簡単に中山の1着馬の傾向をみてみよう。
データは全て過去10年分。

中山芝1200

9番が25回出ていて、10番は19回。それより内ではほぼ20台後半で、外では20回を割る。

中山芝1600

8番が40回、9番が33回。ここが分かれ目。

中山芝1800

11番が24回、12番が17回、13番が10回。ちなみに7番が15回とやや少ないが13番より外は軒並み10回以下。

中山芝2000

11番が23回で、12番が11回。はっきりとここで分かれる。

中山芝2200

5番から10番にかけて10回以上出ているが、両極端の枠では5回程度。内枠はそれでも8回9回と出ている。

中山芝2500

8番が8回、9番が4回、10番が11回。10番枠をどう見るかだが、およそこの辺りで内外の差が生じる。15番、16番はなんと勝ち馬0だ。フルゲート14頭じゃないよな…

中山芝3600

そのままステイヤーズSの傾向だが、11番より内のみ勝ち馬が出ている。元々出走頭数が少ないという説もあるが…

中山ダ1200

内から外まで80回前後でフラット。しいて言えば10番が唯一100回を超えているのと、16番が65回で最も少ない。外枠有利というのが定説なので16番枠が一番少ない出目というのは意外だと思う。

中山ダ1800

10番が85回、11番が68回、12番が68回、13番が73回、14番が52回。この辺りが境目か。

中山ダ2400

7番までは3回以上出ている枠があるが、8番から外では11番が2回出ている以外0か1。

中山ダ2500

4回しか行われていないので参考外かもしれないが、2、10、13、15が勝っている。


さて、これらの結果から考察してみよう。
中山の枠で有名な格言は、
「芝1600は内枠が非常に有利」
「芝2500は内枠が有利」
「ダート1200は外枠が有利」
だろう。これらの格言は間違いではない。しかし、実は当たり前のことを言っているだけだ。
まず結論を述べよう。
芝もダートも絶対に内枠が有利だ!
これは中山に限ったことではない。馬1頭分外を通るだけで半円のコーナーを回れば約5m距離損が生まれる。
円周の公式はご存知の通り、2π×半径。仮に半径をrメートルとし、馬の幅を1.5メートルとしよう。
最内を通っている馬が半円で走ってくる距離は、2π×r÷2=πr だ。
1頭分外を走っている馬が半円で走ってくる距離は、2π×(r+1.5)÷2=πr+1.5π であり、その差は1.5πメートル。つまり約5mという計算だ。5mというと1馬身半ぐらいになるだろうか。
内枠を引いたのにコーナーで4頭目5頭目をぶん回すようなバカ騎手は買ってはいけない。普通は内を引いたら内を回ってくる。
問題は外枠を引いた場合にロスをどれだけ少なくできるかだ。しかし、騎手の腕を持ってしても16番枠からインベタ走行というのはシャダイカグラサイレンススズカのような作戦を取らなければ難しい。もちろん、中山マイルでシャダイカグラのようなレースをするバカも買ってはいけない
そうすると必然的に外枠が不利なのは当たり前の話なのだ。別に中山マイルや2500に限ったことではない。問題はどの程度外枠が不利なのかということだ。
ほとんどの距離で10番〜12番ぐらいを境に有利不利が生じている。おそらくこの辺りが平均的な不利な枠順の境界線なのだろう。
その中で芝の1200、1600、2500では10番辺りでもうすでに不利な結果が出ている。これがつまり「内枠有利」ということだ。比較の問題で、「通常は内枠が有利だが、中でも中山芝1600はさらに内枠が有利」というのが格言の正体である。
ここまでは問題ない。
さて、ダート1200だが、これも実は比較の問題で、通常は不利であるはずの外枠が「不利ではない」というのが実情。現に大外16番枠は数字だけ見たら最も不利なのだ。
だから「中山ダート1200なので内枠は消し」というのは明らかな間違い。これが美味しい馬券をもたらしてくれる。


他の競馬場についても精査してみなければ分からないが、おそらく同様の結果が得られるはずで、一般的に言われる格言に当てはめると、

・内枠有利・・・10番より外枠は減点
・枠順の有利不利なし・・・13番より外枠は減点
・外枠有利・・・枠順による差はない

と考えるのがいいのではないだろうか。
あと、当然のことながらコーナーの回数が増えるほど内枠が有利になるはずだが、長距離レースでは枠順に関係なく1周目途中で2列縦隊ぐらいになることが多く、それで枠順による差が生まれにくいということもある。神経質になるほどではないが、いわゆる「有利不利なし」ぐらいで考えていけばいいのではないだろうか。