競馬の売上が伸びない理由

2月に福山競馬の最期を看取りに行くので、最近は一生懸命に福山競馬の研究をしているところである。何せ今まで馬券を検討すらしたことのない競馬場なので一から勉強している。そして、福山競馬がなぜ潰れるのか、何となく分かった気がする。
もちろん、馬券が売れないから潰れるのだ。ではなぜ馬券が売れないのか?
馬券を売ろうという気持ちが全く見えないのだ。


今はインターネット投票で大半の馬券が売れる時代である。
福山競馬の馬券を買っている人のうち、かなりの人数が福山競馬場に行ったこともなければ、福山市にも行ったことがないと思う。そもそも、福山市広島県にあること自体知らない人も多いのではないだろうか。
そんな人たちが馬券を買っているのである。
もし、売上を伸ばすために新規客を開拓したければどうするか?
当然、インターネットを活用して福山競馬を宣伝するだろう。
全くやっていないとは言わない。一応、福山競馬の公式サイトがある。そこに携わる人がブログを書いて「こんな出来事がありました」という報告などを行っている。
福山競馬公式サイト
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/keiba/index.html
福山競馬公式ブログ
http://blog.fukuyama-keiba.jp/


しかし、肝心の馬、人、そしてレースが見えてこない。
地方の雄、大井競馬あるいは南関競馬の公式サイトと比較すれば歴然だ。
大井競馬公式サイト
http://www.tokyocitykeiba.com/index.php
南関競馬公式サイト
http://www.nankankeiba.com/


JRAでもそうだが、まず、その競馬場に所属している現役騎手は誰か、調教師は誰か。その程度の情報は載っていて当たり前だ。でなければ、何を元に馬券を買うのか?
できれば彼らの成績も知りたい。
それからどんな馬が所属しているのか。どのようなシステムでレースが組まれているのか(クラス分けなど)。
馬について分からなければ馬券検討も覚束ない。
インターネット投票でなく、本場や場外馬券売場で馬券を買うのなら問題はない。なぜならば、そこには必ず競馬新聞が売られているからだ。そこに騎手や調教師の成績、出走馬の近走成績などが載っていて検討できる。
残念ながら、福山競馬はそれを全てNARの公式サイトに丸投げしてしまっている。
NARのサイトで出走馬の近走成績を知ることはできる。騎手や調教師のデータも見ることができる。しかし、その全体像は見えにくい。ただ、その騎手が年間何勝しているかという程度である。仮に年間30勝していたとしても、それが全体の中で多いのか少ないのかが分からない。


福山競馬の公式サイトで作られているのは騎手の紹介だけだ。それも生年月日や所属厩舎などしか載っていなくて、誰が去年何勝してリーディングは誰なのか。通算成績はどうなのかは分からない。正直、星座や血液型なんか馬券検討においては全く不要なのに、肝心のデータがないという作りだ。これは馬券を買ったことがない人間が作ったとしか思えない。


馬のクラス分けも仕組みが全く不明だ。恐らく南関と同様に何歳のいつの時期なら福山での獲得賞金に換算していくらならどのクラスという分け方なんだろうが、基準が全く見えない。次開催のクラス分けの一覧表が出ているが、他場の賞金の換算の仕組みも見えてこないので比較が難しい。


それらのことを逐一更新して公式サイトに載せるのは確かにめんどくさい。手間あるいは費用(外部に委託するとして)がかかる。が、広報に金や手間をかけないで、一体どこに金をかけるのか? どうやって福山競馬のことを全国の競馬ファンに知ってもらうのか?
はっきり言うと、そんなつもりはないとしか思えない。
いずれ潰れるのだから金も人手も使いたくない。そのように思えてしまうのだ。残念ながら。
これは他の地方競馬も同じような状況なのかもしれない。南関のように今後も続けられる見通しが立っているから派手に宣伝できるという見方もできる。しかし、やれるだけのことはやってほしい。打てる手を打たずに指をくわえて「その時」が来るのを待っているだけというのは競馬ファンからすると納得できない。