そもそも馬券の売上が低迷してしまった元凶は

福山競馬のことで出てきた馬券の売上について、日本全体での、というよりも最大の競馬主催者であるJRAの売上が低迷してしまっている元凶について。


私は最大の原因はPATだと思っている。


今や大半の馬券がPATで売れているにも関わらず、そのPATが売上低迷の最大の原因であると思うのだ。
JRAの馬券が最も売れていたのは1990年代だ。有馬記念だとサクラローレルの勝った1996年が最高売上らしい。
この時期に馬券の売り方が大きく変動している。


まず競馬場やWINSでの全国発売が始まった。それまでは重賞だけだったのが、特別レースだけ東西相互発売するようになり、やがて3場の全レースを競馬場とWINSで買えるようになった。これ自体はいいことだ。選択肢が増えて、実際、36レースに挑戦、みたいなことを初めのうちはみんなやったもんだ。
それと同時期にPAT会員の拡大が始まった。それまでは募集人数を限定していたので、よく抽選にもれて会員になれなかったという話を聞いた。そして、PATのシステム自体も、電話での番号入力や特殊なソフト(SFCを使っていたと記憶している)を使ったものから、インターネットで買えるようになった。
ソフトは購入する必要があるし、電話での番号入力は暗号を覚えるか、マニュアルを見ながら操作しなければならなかった(ので、大半のPAT会員は財布の中にPAT投票の小型マニュアルを入れていたのではなかろうか)。
ところが、インターネットは当初はやはり暗号を入力していたが、そのうち番号を選択するようになり、ややこしいものを覚える必要がなくなった。これは便利である。もう競馬場やWINSへ行くよりもネット投票した方が早いとなると、来場者数が落ち込んでいくのは当然だ。特にWINSへ行く必要性はあまり見出せなくなる。


ところで、PATで買う人は馬券を買った後どうするか?
そのまま家にいてグリーンチャンネルや地上波中継を見る人もいるだろうが、かなりの人は外出してしまうのではないだろうか。家族サービスをしなければならないお父さんたちは奥さんや子供と一緒に買い物や遊園地へ出かけてしまうだろう。すると、その日の馬券はそこで打ち止めだ。
が、競馬場やWINSへ来た人たちは違う。
1つレースが当たれば、そのお金を次のレースに使う。
つまり、スタートが同じ1万円だったとしても、トータルで使う金額が違うのだ。
だから競馬場やWINSへの来場者数が落ちると馬券の売上も落ちる。
PATが普及しすぎて、競馬場やWINSへ行く人が減ったから、売上も減ったのだ。


近年JRAが必死になって競馬場へ人を集めようとしているが、それは間違っていない。
しかし、もう遅すぎると思うのだ。
今さらPATじゃなくて紙の馬券を買いに来てくださいよと言われたって無理でしょう。一度便利なことを覚えると元には戻れないのが人間なのだから。