JRAの賞金体系とクラスレベル

一般の競馬ファンに軽視されているが、馬券検討において非常に重要な要素となるのが賞金ではないだろうか。
どれぐらい一般ファンに軽視されているかというと、あなたはすぐに古馬500万平場戦の1着賞金がいくらか答えられますか?ということだ。(ちなみ答えは主場開催で720万、従場開催で670万である。)
なぜ賞金が重要なのか?
馬主になったつもりで考えてみたらいい。
仮に500万クラスの4歳牝馬を1頭持っているとしよう。
夏の放牧から帰ってきて、秋競馬が始まる頃に、そろそろ競馬に使いたいと管理調教師から相談が来たと思いねえ。
さて、どこのレースを使いますか?
関東馬だとすれば、
・新潟の夏競馬
・中山、東京の秋競馬
・新潟、福島の裏開催
というのが考えられるだろう。
「どこでも一緒じゃない?」という方は、もう一度言う。実際に馬主になったつもりで考えてみよう。
馬主もロマンと道楽だけでやっているわけではない。現実問題として、賞金を稼いでもらわなければ困るのだ。ましてや、4歳牝馬で500万条件となると、重賞制覇なんて夢のまた夢。きっちり目の前のお金を拾ってきてもらわなければならない。それもできるだけ多く。
この「できるだけ多く」というのが重要だ。
賞金自体は、新潟の夏競馬と中山、東京の秋競馬が1着720万円。特別レースなら1着970万円もらえる。裏開催は特別で1着870万円、平場で1着670万円だ。どこを使っても勝てるのなら無条件で高い方だろう。だが、現実はそんなに甘くない。
6着以下だとビタ一文もらえない。とにかく5着には入ってほしい。少しでも着が上になりそうなのはレベルの低い方だ。
5着までには来そうだという自信があれば主場開催を使うだろう。そっちの方が賞金が高い。
が、さらに考えて、主場で5着になるのと、従場で2着になるのとではどっちが得か?主場の特別5着は97万円、従場の平場で2着は270万円だから、当然、従場を狙いに行く。
だから他のメンバーとの兼ね合いで使うところを決めることになる。
どっちでも勝ち負けになる馬なら、主場。主場では厳しい馬なら従場。これが相場だろう。
かつ、牝馬限定戦であればなおさらレベルが下がるので、そっちを狙うだろう。
最も勝ち目のあるのは、従場の平場の牝馬限定戦だ。
だから自ずとレースのレベルに差が生じる。


色々とトリビア的なものをご紹介しよう。

500万特別(主場)と1000万平場(主場にしかない)の賞金額は970万円で同額である。

これはトリックがある。500万特別が主場で組まれるのは、6月から9月にかけて。これはクラス再編成の時期にあたる。1000万から降級してきた組が安い平場よりも特別を使いにくる。
そして、この時期には1000万平場は組まれていない。ので、実質、同レベルだと考えていい。

オープンの賞金は、芝長距離、芝短距離、ダートの順に優遇されている。

短距離やダートのレベルが低いのはここに原因の一つがあるだろう。
OP特別だと、通常は、芝長距離(1700以上)が2200万円、芝短距離(1600以下)が2100万円、ダートが2000万円だ。
これが重賞となるとさらに差が開く。
G3で、芝長:4000万円、芝短3800万円、ダート3500万円。
G2だと、芝長:6000万円、芝短5500万円、ダート5100万円。(G2の場合は、単純に距離の長短でも分類されきらないが。)
明らかにメンバーのレベルの低そうな(というか、実際にレベルが低い)ステイヤーズSが6000万円で、G1の前哨戦である阪急杯が3800万円なのだから、そりゃ、走れるなら芝の長いところを走らせるだろう。
重賞の場合は、賞金の多寡よりもローテーションの問題の方が大きいため、選択の余地なく賞金の安いレースを使わざるをえないので、先の「賞金多い=ハイレベル」が当てはまらない。ただし、札幌記念阪神Cのように、意図的に賞金額を上げている(6500万円)と思われるものもあり、これは比較的メンバーが揃う。馬券的には、同路線内での賞金額の比較にこだわる方がいいだろう。

が、実はダートの重賞で1つだけ優遇されているのがレパードS

レパードSは3歳限定のダート重賞である。んなこたあ、書かなくても分かっているだろうが、これが実は賞金額が高い。
古馬のG3のダート重賞はすべて1着3500万円。3歳限定のG3重賞、例えば、同時期のラジオNIKKEI賞は1着3700万円。
ところが、レパードSはなぜか1着4000万円もある。だから比較的メンバーが揃うと考えられる。実際、去年の出走馬も大半が1000万を勝ちあがり、上の4頭はOPでも活躍している。


もう少し整理できたら指数に反映しようと思っている。