高速馬場と故障の因果関係

キズナが故障したということで、早速、高速馬場批判が出てきているようだ。
この件については、もうずいぶん前に因果関係はないことが明らかになっている。ソースは忘れたが、全体的な時計が速くなり始めた1990年代とそれ以前とでレース中に故障する確率は下がっているという。むしろ、高速化した近年の方が故障しにくくなっているともいえる。が、それゆえに「高速馬場=故障しにくい」と単純に結論付けられるわけではない。
この件で一番問題なのは、メディアの立場である。
私の記憶によれば、1990年代の半ば頃に有力馬の故障(フジキセキだとかサニーブライアンだとかアグネスタキオンだとか)が相次ぎ、競馬メディアが「高速馬場のせいだ」とJRAを叩き始めたのが一般に広まった。
最近ではそういう馬鹿げたことをいうメディアはさすがになくなった。そりゃ統計上実証されてることをいつまでもネチネチと批判はしない。が、1990年代に競馬をやっていた競馬ファンの一部にはいまだに「高速馬場=故障しやすい」と勘違いしている人がいる。それをメディアはなぜ否定しないのか?それが問題である。自分らのやった過ちに対して無責任すぎるんじゃなかろうか。
個人的には、1990年代に有力馬の故障が相次いだのは、日本の血統レベルが向上したのが一因だと思う。サンデーサイレンスを筆頭にどんどん日本競馬のレベルを向上していったが、馬の脚はその進化に追いつかず、故障をしてしまったのではなかろうか。というのは、1990年代の半ばというのがまさにそういう時期だからである。単なる偶然ではないだろう。もっとも、ダービーの前後にトップホースが故障するというのはずっと昔からもあったことではありますが…
去年、中山のバックヤードツアーで馬場に入れてもらって造園課の方の話を聞いたが、馬場を切ったり、穴を開けて、馬場を柔らかくするような技術があるらしく、中山の他にも新潟などで実施されているという。だけど、そのことについては、まだそこまで広く知れ渡っていないような気がする。もちろん、去年の夏頃から盛んにそういうことを唱え続けている評論家はたくさんいるが、まだ周知不足なんじゃなかろうか。その点に関しては、JRAももっと広報活動を行ってPRしていいと思うんだが。