最近は内枠ばかりでツマラナイは本当か?

エリザベス女王杯が1−5、天皇賞秋が4−1、菊花賞が2−4、秋華賞が6−4と内枠ばかりでの決着が続き、「最近は内枠ばかりでツマラナイ」という声が上がっている。いつもの「昔はよかった」というジジイどもの戯言だが、確かに連対馬が6番までというのは極端すぎるかもしれない。
そこで、本当に「最近は内枠ばかり」なのかどうか、昔は本当によかったのか(今よりも外枠が馬券に絡んでいたのか)調べてみた。
まずは1994年の馬番別の勝率と複勝率。みなさんの大好きな「あの頃はよかった」サンデーサイレンス産駒大爆発以前ですよ(冷笑)。

1  9.0  25.9
2  9.3  27.7
3  8.7  26.4
4  9.1  26.3
5  9.3  27.3
6  7.6  25.6
7  7.9  27.0
8  9.3  26.2
9  7.5  22.4
10  8.9  25.3
11  7.4  22.6
12  8.6  22.3
13  6.0  18.7
14  6.7  19.7
15  6.2  20.0
16  5.8  18.7
17  2.6  18.4
18  5.3  10.5

参考までに、17番と18番はそれぞれたったの2勝と3勝でした。
続いてその10年後の2004年の馬番別勝率と複勝率。

1  7.5  23.2
2  8.8  25.8
3  7.6  24.1
4  7.5  23.1
5  7.6  23.7
6  7.5  23.0
7  7.5  20.4
8  7.4  23.0
9  7.5  22.4
10  7.3  20.8
11  6.9  20.3
12  6.4  20.2
13  5.9  18.6
14  7.1  18.0
15  6.5  18.3
16  5.5  17.3
17  4.4  13.9
18  5.3  17.3

最後に今年のこれまでの馬番別勝率と複勝率。

1  7.3  21.4
2  7.3  22.1
3  7.1  21.6
4  8.2  22.6
5  6.7  21.1
6  7.2  21.1
7  6.8  21.9
8  6.9  20.8
9  7.4  21.7
10  7.4  21.0
11  7.0  20.4
12  6.5  20.3
13  6.3  17.7
14  5.8  18.9
15  5.5  18.0
16  6.6  19.2
17  4.0  15.6
18  5.6  18.0

もう説明不要だろうが、念のため書いておこう。
「10年前、20年前よりもはるかに今の方が枠順で着順が左右されることは少なくなっている」


どの年をみても、12番と13番との間に複勝率の谷間ができていることが分かるだろう。ここが大きなターニングポイントだと思うし、馬券的にも軸にするなら12番より内というのがデータから裏付けされる。
1994年は単勝でもそこに谷間が発生している。つまり、12番より内では7%を下回ったことがないのに、13番より外は7%を上回ることがなかった。単勝という観点からも13番より内は相当に不利だったと言える。特に17番や18番の単勝を買うという行為は慈善の寄付としかいいようがない。
それが、2004年になると10番と11番あたりに小さな谷間が生まれ、10番より内は7%以上、11番より外は7%未満(14番除く)となっている。ただし、特定の馬番の勝率が軒並み9%超というような偏りはなくなっている。
2014年は2004年とほぼ同様の傾向だが、内枠でも勝率で7%を下回る枠が出てきたり、複勝率で23%を超える枠がなくなったり、よりフラットな傾向になってきている。(まあ、それでも13番より外枠が不利だというのは複勝率をみれば一目瞭然だが。)
これでも「やっぱり昔の方が外枠が出ていた」「内枠ばかり来るような馬場作りはヤメロ!」という方は、どうぞ皆さんの養分となってください。決して私は止めません。


でもG1の結果は全部内枠じゃないか、という方。確かにそうですわな。
各年のG1の結果をみてみましょうか。
左から順に1994年、2004年、2014年の各G1レースの結果。

フェブラリーS  実施なし  10-1-15  13-15-11
高松宮記念  実施なし  3-8-18  5-17-9
桜花賞  1-7-12  9-13-6  18-12-10
皐月賞  1-7-16  14-18-8  2-17-18
天皇賞春  11-6-5  6-16-8  7-12-6
NHKマイルC  実施なし  13-1-6  10-2-1
ヴィクトリアマイル  実施なし  実施なし  14-4-1
オークス  3-15-11  13-1-6  9-10-5
ダービー  17-4-5  12-5-17  2-13-3
安田記念  5-2-4  14-9-16  10-12-11
宝塚記念  13-8-5  15-1-8  11-5-3
スプリンターズS  8-12-4  5-1-12  18-9-13
秋華賞  6-17-16(旧エリ女)  11-16-5  6-4-12
菊花賞  4-12-8  18-5-1  2-4-10
天皇賞秋  10-1-4  13-4-8  4-1-15
エリザベス女王杯  実施なし  12-4-17  1-5-15
マイルCS  9-12-14  7-15-8  未実施
JC  4-3-15  9-10-7  未実施
チャンピオンC  実施なし  14-10-4(旧JCD)  未実施
阪神JF  9-3-2(阪神3歳)  5-6-3  未実施
朝日杯  1-3-4  7-8-2  未実施
有馬記念  11-8-10  1-9-6  未実施

確かに昔は外枠が来ていたようにもみえるが、勝ち馬が飛び抜けていたケース(ナリタブライアンゼンノロブロイなど)が多い。多分、昔の方が全体的な馬の質は低かったと思うので、トップクラスの馬が1頭飛び抜けていることが多かったのだろう。
その他では、開催後半で外枠が出ているケースが多くみられる。これは今も同様。
G1レースの場合は施行回数が少ないので馬の能力や開催時期による馬場状態などに左右されることが多く、これだけをもって判断するのは難しいが、本質的には内枠有利だと考えるべきだろう。特に今年のエリ女のように混戦の場合は本当に枠だけで着順が左右されてしまうことがあり、「迷ったら内枠から」と考えて馬券を買うのが賢明であり、外枠が来ないから当たらないと言いがかりをつけるべきではないと思う。