競馬の文化誌

随分と読了に時間をかけたが、それはジャパンカップだとか、別の本が佳境にさしかかっていたから。
ようやく読み終わったが、そんなに時間はかかってないと思う。
今日は何位でしょう?(Blogランキング)


競馬の文化誌―イギリス近代競馬のなりたち

競馬の文化誌―イギリス近代競馬のなりたち

この本については一つの思い出がある。
同じ著者による「ダービー卿のイギリス」が1997年に刊行されているが、翌年に卒論の作業に当たっている最中、光ヶ丘の区立図書館で偶然、出会った。
当時、ドイツ現代史で進めていたし、かなり進行していたので実現には至らなかったが、本気でテーマを変更しようかと思ったぐらい。
実際、卒業認定単位数ギリギリしか登録していなかったので、1つでも落とすとアウトという状況で、「留年したら来年は時間もあるのでイギリス競馬史を文化史と絡めて書く」と宣言していた。
幸いにも(?)全単位を取得し、卒業してしまったのだが、実はこんなに勉強しない学生は早く追い出してしまえと言わんばかりに単位をもらったのではないかと今でも思っている。
そらそうよ。最後の試験は、一度も出席をしたことがない上に、入手していた情報と全く異なる問題が出てきて、
「申し訳ない話をするのはもう何十回目になりますが、問題の意味すら理解できないので、代わりに、先生の著書について感想を書きます」
から始まる感想文を5分でしたためて、覚悟を決めて出てきたわけやからな。
さらに言えば、本村先生がいなければダメやったやろうな。
いきなり古代ローマの碑文の写真を出されて、
「これについてわかることを書け」
という類の問題。当然、一度も出席してないし、わかるわけがない。つうか読めないw
これは覚悟の上で、始めから
「先日、スポニチのコラムで先生の父君が亡くなった時の話を拝見しました。最後の言葉が『エアグルーヴ…』*1であったことを知りました」
から始まり、天皇賞観戦記を書いて出てきたわけで、ありがたいことです。
今だに本村先生の家には足を向けて眠れません。


そんな因縁で、僕がやりたかったことも含まれていて、読んでいて「そうなればそうなるやろ」とか思ったりしたわけよ。
イギリスの文化と競馬は深いつながりがあるのは10年ぐらい前から思ってたこと。そういうのを体系化して一冊の書籍にまとめられた山本雅男氏にはごくろうさんと言いたい。
今になっては僕のやりたいことは別の方向に向かっているが、7,8年前、確かに僕の目は同じ方向を向いていた。そして、その結局は成せなかったことがきっかけとなった書の著者によって具現化され、手に取ることができたことを嬉しく思います。
血統だけでなく、レース体系や組織といったまさに文化史に直結する事柄について詳述されていて、これを読めば一通り、近代競馬発祥の国イギリスの競馬事情が理解できることでしょう。政治、文化とのかかわりがいかに深かったか。まあそういうことよ。
読み終わった後は、ちょっと(ニューマーケットへ)行こか…。

*1:前期の試験が10月に行われ、ちょうどエアグルーヴ天皇賞を勝った直後だった