激走馬の見つけ方

実走着差のデータを少しずつ貯めていっているが、多くのレースを見ていて気付いたことを2,3あげてみたい。

  • 直線距離の短いコースほど紛れる

直線部分はどこを走っても距離ロスはない(もちろん芝の良し悪しやダートコースの砂の偏りによる影響はあるが)が、コーナー部分は外を回るほど確実に距離ロスが発生する。僕の場合、2つのコーナー(1・2コーナーや3・4コーナーといった組み合わせ)で1頭分外を走ったら0.2秒のロスが発生すると計算している。
直線の長い競馬場ではコーナーに入るまでに隊列が落ち着いてそんなに大きく外を回る馬は少ない。東京の千六なんかを見ればよくわかる。
逆に直線距離が向こう正面で300mもない福島や札幌ではコーナーに入っても隊列が決まらないこともあり、外枠の馬がかなり外を回らされたりすることがある。その上、そういう競馬場では最後の直線が短いので3・4コーナーで仕掛けて外に振ってくる馬が多い。ひどいときには1秒半以上のロスをしていることもあり、こういう馬が10着ぐらいに負けていると次走でほとんど人気しない。が、展開利が見込めてロスした1秒半を挽回できるなら穴馬として狙えることになる。
ちなみに、東京はコーナーを5回以上回るコースというのはほとんど存在しないので大きくてもせいぜい1秒弱のロス。だから実力どおりの結果になることが多いのだろう。
大事なのは、今回走るコースよりも前走で凡走しているコース。その成績のためだけに人気を落としている馬がいれば積極的に狙ってみるのがいいだろう。
今回走るのが直線の短いコースなら実力のある馬が展開で能力を発揮できないまま終わることもありうるが、そういう展開を完全に読みきるのは難しい。だからこそ、東京や京都のような直線の長いコースで前走凡走した馬を狙いたいのだ。

  • 一般的に考えられているよりも枠順の影響は大きい

平安Sで3番人気6着だったワイルドワンダーに騎乗したルメール騎手のコメントはおよそ次のよう。「今回は枠順が全て。スローで内に入れず外を回らされた」。京都ダ千八は一般的なコース解説本では枠順による有利不利はほとんどないとみられている。実際にはそうではなく、レースによっては外枠は全く競馬をさせてもらえないことが多い。後ろから行けば平坦で329mしかない最後の直線でゴボウ抜きは難しく、捲っていっても外を回らされてコースロスが発生する。前につけようと思ったら被せていくのに1コーナーまで258mの直線をかなり飛ばさなければならないのでそこで脚を消耗してしまう。
漫然と見ているだけでは多分気付かないところだ。JRAのサイトにあるコース略図や新聞に載っているコース図はデフォルメされていていかにも最初の直線が長そうに見えたりするが、実はそんなことはないというコースが他にもたくさんある。その点はよく注意したい。

  • ハイペースで差し追い込みが有利なのは先行勢がバテるからではない

ハイペースでは前に行った馬がバテて後方で脚をためていた馬が差し切ると思われているが、実はそうではなくて、スローになると馬群が固まり、後ろからの馬はかなりのコースロスを冒して外からコーナーを回ってこなければならない。一方、ハイペースでは馬群がバラけることが多く、内から2,3頭目を走って比較的ロスなく競馬をできるので普段はコースロスの大きい馬が上位に来たりするのだ。だからスローでも馬群が固まらない少頭数の競馬では差しが決まるし、一団になって走っているハイペースのレースではロスなく進められた先行馬が残る。このことは人気を形成する競馬新聞やスポーツ新聞の予想ではほとんど触れられていないので穴予想をする際にはかなり有効だろう。