阿部和重「ニッポニアニッポン」

ニッポニアニッポン (新潮文庫)

ニッポニアニッポン (新潮文庫)

( ^ω^)おもすれー
と、ふざけたVIPPERで始めてもええやろ。そういう内容なんやから。
今までの阿部和重の読みにくさというのがなくてスッと読める。なぜか?妄想が、独白が、重くなく畳み掛けるように語ってくるから。
それでいて単なるヒッキーとかそういうものの批判ではなく、むしろ、枠組への批判であり、その枠組を批判することすら枠組への囚われであることを暴きだしている。間違いなく哲学的エロロリヲタ作家・阿部和重の本領発揮である。もっとも印象的なのは、個人的には、幕切れである。
有馬記念キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
主人公がタイーホされる。2ちゃんらしきネット掲示板でさまざまなデマが飛び交う。そこへ、犯罪予告を貼り付ける名前のない登場人物。反体制側の主人公の対置されるべき彼だが、その行動は実はそうかわりはない。憶測だが、世の中を知らない中学生をメル友と信用させたのもこの男ではないかと思うが、反体制の反対が反体制で、では、体制はどこに? それが象徴としてのトキであり、抗っても無駄な、なぜならそれは妄想であるから、存在としてある。というのもおかしな言い回しだが、そんな体制であるとか反体制であるとかいった概念は人間が勝手に想像で創造した妄想なのであると。
で、それを書いている本人もそれを承知の上で妄想しているわけだ。この作品に至って妄想キチガイ度ではドストエフスキーの足元ぐらいには来てるかなと思う。いや、ある意味では越えているかも。
しかしまあ、ウヨが読んだら何か処分されたりするんかな、天皇誕生日の直前に。