夏目漱石「行人」

行人 (岩波文庫)

行人 (岩波文庫)

新聞の連載小説というのは大変やね。1回ごとに「どうするどうする」みたいな展開にせなアカンみたいなプレッシャーがあって。
それはさておき、「こころ」とかぶるもんがあるんよな。社会への不信、さらには自分への不信であるとか、非常に長い書簡によって締めくくられている構成面(内容としても漱石の思想を作中の人物に語らせているわけだが)であるとか。
最終章は、その前の3章と別物といっていい、ただ人物等の背景を拝借しているだけの。その思想的なものは、禅によるのかな、かなり東洋的なもので、西田幾多郎に通ずるところもある。全体と調和し、いや、すすんで同一化し、他者との距離を0に近づける、あるいは0にまでもっていこうとする。そうしてお互いを理解できると。
ただ、それを実行するのは困難をきわめ(そら他人は他人で、自分は自分。おんなじになろうとしても無理な話。だからこそ問題として生じるわけだが)、厭世的にならざるをえない。何か年末に、嫌なことが続くのに、暗いもんを読んでもうたなあ(苦笑)。ますます気分がダウソしていく。ウチュダチノウ。

(゚д゚)ウマーのAA