石原慎太郎「太陽の季節」

太陽の季節 (新潮文庫)

太陽の季節 (新潮文庫)

他のも読んでみた。同じような展開で同じような内容やった。(女と酒以外の)他のこと書けへんのか、と思ったらヨットが2つ。でも同じような内容やった。
どれも「死」を扱ってるものの、どうもしっくりこないというか自分の「死」への見方と違うからあんまり受け入れられんよ。アレかな、死神の話。何回自殺しても死ねないヤシの話。あれだけはなるほどなあとは思ったけど。「黒い水」に至っては傲慢というのか、運命は自分で切り拓くぜ、みたいな流行りの歌の歌詞かよって。自分の欲望のおもむくままに生きるとか、全体的に青いんよな、こんな具合に。尾崎豊の歌詞からカリスマ性を差し引いたみたいな感じやな。まあ書いた年代が年代だけにしょうがないところもあるけど。
どの作品もそうやけど、視点が定まってない。どの登場人物の意識なんかつかみづらい。わざとそうしてるんではなくて、単に失敗してるだけのような気もする。出てくる連中がみんな同じような連中ばっかりやから余計に分からん。こんなんでええんやったら自分にも書けそうな気がするけど、実際にはここまで書けないというのが事実。何にもないとこから創りあげるのと、それをボロクソに批評するのんは雲泥の差や。それを忘れたらアカンと思う。
まあ読んでみて、(死に対して)こういう捉え方もあるんやなと参考にはなった。

秘密の入口