シラー「美と芸術の理論」

美と芸術の理論―カリアス書簡 (岩波文庫 赤 410-2)

美と芸術の理論―カリアス書簡 (岩波文庫 赤 410-2)

次は軽いものにしようと思っていたけど、これを読まずにはおけなかったので一気に。
実は、半年ぐらい前に読み出したけど「カントの『判断力批判』を読んでないとまるで分からん」と感じたんよ。で、放り投げた。
今回、「判断力批判」を読了して間をおかずに読んでみたらスッと入っていけた。
それほど「判断力批判」の影響が大きく、というよりも同書の理論に具体例を挙げつつ簡単に著したと言ってしまえばいいかもしれない。
100ページ足らずの1冊に「判断力批判」の上巻の内容プラスαがまとめられている。どれだけカントが難しく物事を言い過ぎているか、いや、それだけ説得力を持たせようとしているかということやね。
逆にシラーのでは簡略すぎてこれ単体で理解しろというのは結構難しい。あわせて読むべきやなって実感した。
で、カントとシラーの美学論。結局は「自然」ということ。そして主観的でありながら客観性を持つこと。素材は特殊なものを扱っていてもそれに普遍性が伴っていなければ芸術とはいえない。まあ、そういうことよ。そこに形式も含まれるわけやけど。普遍的な。難しいね。