吉田満「戦艦大和」

戦艦大和 (角川文庫)

戦艦大和 (角川文庫)

古本市で仕入れてきた一冊。講談社文芸文庫からも同じものが出ていて、同じ古本市に並んでいたが、値段(250円と700円)で角川を選択。原文のようにカタカナではなくひらがななのがアレやけど、それはそれで読みやすい。
さて、ありきたりな「戦争はいけませんね」とかそういうクダランことをいまさら書くつもりはさらさらない。また、「猛攻撃に耐えてよくがんばった。感動した!」とか言うつもりもない。
一緒に収録されている文章でも吉田氏が書いてたけど「戦争責任」について。「悪い」と思っていても、国家が個人に優先される。それがなければそもそも国家は成り立たない。これは何も戦争に限ったことではないと思う。つまり、国家の方針に逆らえるかどうかということで、いつの時代もそうなれば厳罰がくだされるのが常。
例えば、今の日本であれば徴兵制度はないけど納税義務がある(戦前もあったけど)。これを拒否すればどうなるか? 追徴課税があり、さらには懲役が待っている。とにかく守らなければならないらしい。いくら消費税反対といっても払わなにゃならん。
この「激流」に逆らって流れを変えていくためには個人の力では無理で、よほどの人数かカネしかないのが現実らしい。そして、今の腐りきった日本では数百万という程度のものでは無理らしい。ヒトもカネも。
議員を、衆参両院で過半数をとれれば変えられる。しかし、そのための動員と資金は?
大臣を買収すれば国家の方針を変えられるらしい。しかし、そのための資金は億は必要らしい。しかも一応「非合法」ということになっているらしい。そこら中でやってるけど。
「戦後の日本が変わったか?」という判断は、半世紀を過ぎた今、もう下してもいいと思うが、まあ「腐った」としか答えようがないわ。変わったことは変わった。直接的には戦争にも巻き込まれず、むしろ戦争を食い物にして自分たちは高見の見物を決めている。「アメリカには逆らってはいけない」ということは分かったらしい。が、悪代官に対する越後屋みたいな腰巾着もイカガナモノカ。
誰かがこの悪い流れを断ち切らなアカン。それはオレも半年ぐらい前から思っていたこと。
と、得意のどん語でしめたところで、実は一時頓挫している書き物が実は同じようなことをテーマにしていたということだけ書いておこう。大いに考えさせられることがあったわ。