PL指数 第2回

今日は「レース適性」について。
同じコースでもメンバー、天候、馬場状態等の条件により全く結果が異なることが多い。それについて、少し説明をしていきたい。
まず、コースごとに特性があり、そこへの適性については第1回で触れたとおり。
そこから、今回のメンバーで考えられるペースを判断する。判断材料としては、過去の成績ぐらいしかないわけであるが、ここでペース指数を使う。つまり、全出走馬のペース指数の平均が馬群の中心点のペースになるわけで、これが速ければハイペース、遅ければスローペースと判断できる。決して「逃げ馬のペース」ではないところが重要。
なぜ逃げ馬のペースを使わないか? それは、逃げ馬を全く度外視したレースが少なくないから。つまり、実質2番手以降の馬たちでレースを進めているケースが少なくない。その結果、逃げた馬は速いペースであったにもかかわらず残ってしまうことがある。それは、レース全体がスローペースだったからと言える。あくまで肝心なのは「レース全体」である。
そのレースの中心点からの比較で基準ラインより速いか遅いかを決める。「レースは生き物」というが、まさにその通りで、メンバーによっては距離の割にはものすごく極端なペースになることもある。そうなると基準直線からの距離はとんでもないことになり、結果、大荒れとなるケースがある。
メンバーによるペースだけではない。
レース適性で重要なもう1つのファクターは、馬場状態。「時速何キロ速いか遅いか」。極端にいえば、これだけでレースの結果を左右してしまうほど大きなウェイトをしめる。
例えば、2007年のスプリンターズS。不良のなかでも不良馬場で行われたが、極端に遅い馬場状態であった。当然、基準となるラインは大幅に下がる。そうすると、普段なら基準直線近辺にいるはずの馬たちはみんなPL指数で差をつけられてしまうことになる。逆に、普段なら基準直線よりずっと下の方にいるはずの馬たちは馬場状態の恩恵を受けて好走条件が整う。あとはその馬の体調や乗り方次第。
普段なら基準直線より下にいる馬、というのはしまいにバテてしまう馬たち。いわゆる「消耗型」の馬である。後方から追い込んでくる馬も馬場状態が悪く思ったように走れないため結果として多少バテても残れるということなのだ。
もっとも、コースによって異なってくる。
中山芝1200mはもともとが消耗型のコースで右上がり、つまり前にいけるほど有利なコースであるから、後ろから追い込んでくる馬はさらに不利。普段ならちょうどいいペース配分の馬は馬場状態の分、割引。普段なら行ってバテる馬やもともとが後ろから行って伸びない馬にとってはちょうどいい馬場状態になる。そこで前残りになったわけであり、後ろから行ってるにも関わらず34秒台や35秒ぐらいの末脚しか使えないタマモホットプレイが最低人気で大激走したわけである。
これが極端に右下がりの長距離のコースならどうか? 普段なら好位からちょうど基準直線ぐらいのペース配分になる馬は凡走、追い込んでやや足りない馬は全く見せ場なし。恩恵を受けるのは先行していつもは速すぎる馬や、後ろから切れすぎる馬。
中距離ぐらいでよくあるほぼ水平の「平均型」は一番わかりやすくて、先行して脚があがるタイプは馬場状態が悪い方が都合よく、末脚勝負の馬で切れるタイプはダメ。
感覚的には常識とそれほど離れたものではないけど、これをだいたいの数値化したのがPL指数といえる。


ちなみに雨さえなければかなりいい状態で行われそうな春天の京都芝3200mは、右下がりの瞬発力型。馬場状態がいいと基準直線は上に上がる(速度が速いということで)ため、普段よりも瞬発力タイプの馬に有利に働くはず。前半のペースもあるので一概には言えないけど、33秒台の脚が使える馬に有利とみている。そういう意味では、ポップロックが注目ではあるけれども、それほど切れるタイプがいない今回、先行してそこそこの脚が使える馬は要注意。例えば、去年の阪神大賞典で好位から34.5のドリームパスポートや、鳴尾記念を追い込んで33.5、中山金杯は先行して34.6のアドマイヤフジ、あるいは常に先行しながらコンスタントに34秒台で上がれるアドマイヤジュピタ、毎度おなじみアイポッパーなんかが有力かも。密かな狙い目として34秒台未知の魅力を秘めたココナッツパンチ
そういう推理ができる。実際のペース指数をみてみないとはっきりとは言えへんけどね。