PL指数 第3回

概略は終わりにして、詳細な計算について書いていこうと思う。
ここからがホンバン。
まず今回は計算前段階で準備の必要なものを。


「コース適性」「レース適性」。この2つが軸になるというのは前回書いたとおり。
そして、それらの基準を定めてやらねばならない。
今回は「コース適性」の基準について焦点を当てていこう。


コースの基準として必要なものは
1.基準ペース速度(x軸に使います)
2.基準上がり速度(y軸にに使います)
3.基準直線の傾き
4.PG(ペースギャップ)の基準値


こんなところですか。リストアップしてしまうと大したことはないんですけど、これらをイチから揃えるのはけっこう手間がかかりますね。
特に記載がない限り、馬場状態は不良馬場以外を使います。良馬場限定にしないのは、良馬場は青天井だからです(もちろん不良馬場も青天井です)。やや重と重は含水率で範囲が決定されています。ほぼ信頼できる数字ですね。しかし、競馬の大半は良馬場で行われているのでこれを無視することはできません。かといって開催日ごとに、という面倒なことをするぐらいならもっと精巧な指数を作ります。僕にとって指数はあくまで予想ツールの一つ。そう割り切って「パンパンの良馬場」を相殺する「不良に近い重馬場」も含めた計算をします。


まず、1と2はセットにして考えられます。
ここで「基準」とは何ぞや? という基本的なところから。
はっきり言うとどこでもええんですけど、クラスとか固定の馬とか、何かモノサシの「0」にあたるところが必要なわけで、そこはスピード指数と一緒。
僕の場合は、「クラス差」を重視してやっているのでクラスがモノサシになります。そういう意味では「格重視」の指数ともいえますね。
じゃあ、どこのクラスを基準にするか? これも好き好きで、例えば、スピード指数では西田式は500万と1000万ぐらいを基準にしてるし、石川式では1000万を基準にしている。
僕は今までスピード指数系のものをやってきた経験上(これが自作して10年以上になるからまあ持論として自信はありますね)、500万クラスを基準にするのがベストとみます。
僕が3F指数を自作しだした1997年当時は、まだ福島、中京などローカル開催は「中央で勝てないダメ馬の墓場」でした。が、今は調教師の考え方も変わってきたのか、「馬の個性」を重視して、ローカルを中心に使う馬も増えてきています。そういった馬たちが弱いかというと勝ちあがって走るところがなくなって中央開催に出走してきても意外に好走したりします(これが人気薄でおいしかったりする)。
西田式なんかはあからさまに「ローカル補正」なんかを入れていたりしますが、それほどの必要はないと今は思ってます。
そこで、ローカルも同じレベルで考えて、どこのクラスがいちばんサンプル数が多いか? 当然500万ですね。ローカル開催なら多い日で1日9鞍ぐらい、少ない日でも5鞍はある。中央開催でも少なくとも3鞍はある。これが1000万なら1日1鞍。全然数が違うがな。
2歳3歳限定の場合も大半が古馬と差はないと思うんですね。
例えば、先週の開催を見ても、土曜福島に3歳の特別戦(ダート1700)、日曜東京に3歳平場(芝1400)があり、同日に古馬500万の同条件がありましたが、どちらもほぼ同じ勝ちタイム、同じような出走馬平均タイム。2歳も500万のレースが組まれる秋以降、そんなに古馬と差はないですね。
それゆえに僕は500万と基準にしています。


さて、基準ペース速度と基準上がり速度の話に戻りましょう。
計算はどちらも単純で、単にTARGET等で500万条件のレースを全部抽出して、コースごとに平均速度を計算してやれば8割終わりです。古馬も2歳も3歳もそんなに差はないというのは先ほど書いたとおりなので分ける必要はないと思いますが、気になる場合は分けてください。ただし、その場合は、2歳、3歳の基準を別に設定する必要があります。僕はめんどくさいのと先に書いた理由から分けてません。
で、残りの2割はというと、例えば京都芝3200mのようなコースです。使われるレースが年に1回とか2回と限られていて、しかも500万では設定がないコース。全10場あわせても10ぐらいしかありませんが、無視するわけにはいきません。
ここで「クラス差」が登場します。
500万だけでなく、全コース、全クラスの平均を計算します。そして、コースごとにクラス間の差を出します。これが「クラス差」です。
実は、必要なデータの一つなのですが、1と2を準備する過程で必ず計算しなければならないのであえて最初に挙げませんでした。実際の馬場差やペース指数、PL指数を計算する時にも使う重要なファクターです。
さて、このクラス差を利用して、500万に設定のないコースの基準を決定します。こうやって京都芝3200mや阪神芝3000mの基準が決められていきますので、この辺は多少あやしいところがあります。ただPL指数が予想の全てではないので誤差の範囲というか、多少目をつぶっていきます。目的は完全な指数を作ることではなく馬券予想ですから。
同時に500万の設定があるコースについてももう一度見直します。1000万や1600万など他のクラスについて、クラス差を利用して500万相当の速度に戻してやり、全クラスでの平均値を「修正版500万クラス平均」として基準値にしてやるわけです。これと単純な500万平均に大きな差がないか? なければよし、あれば理由を見つけてやる、と。大概がありません。あるとすればサンプル数の少ない上級条件のほうで馬場状態が悪いとか、良すぎるとか、そういうケースの方が多いですね。
これで1と2は完了。


3はここまでくればすぐに終わります。
500万に限らずどのクラスでも、実はコースごとのxy分布は変わりません。単に切片が上下するだけです。この切片がクラスの差になるわけですが。
このことは、実は3F指数を始めた頃から分かっていて、実際、初期の3F指数はこの点に注目して計算していたことがあります。
そこで、傾きを計算する際には全クラスを対象にして、単純にSLOPE関数をかませてやればおしまいです。補正はしません。
以上。簡単ですね。


4はもっと簡単で、1と2の差です。
(基準ペース速度) - (基準上がり速度)
にあてはめるだけです。PGが小さいほど上がりの速いコース、大きいほどバテあいになるコースといえます。


3と4は似たような傾向を示します。
つまり、PGが大きいコースは傾きも大きく(正の数値)、PGが小さいコースは傾きも小さい(負の数値)になることが多いですね。
もちろん例外もありますが。
そこで、おおまかな分類ができます。
★瞬発力型
★平均型
★消耗型
ラップギアのパクリですけどね(笑い)。やってることはほぼ同じなのでいいでしょう。
瞬発力型はPGが低い(僕は-20ぐらいから下はここに当たると思ってます)。
消耗型はPGが高い(20ぐらいより上ですね)
その中間が平均型と。
ラップギアの「平坦型」を使えないのは、ハロンごとのラップを出せないので坂の有無について検証できないからです。ベストはここなんですが、まあ今の状況ではしょうがないでしょう。
基本的に瞬発力型のコースで消耗型の逃げ馬を狙ってもあんまり来ません。
逆に消耗型のコースでキレのある差し馬を狙ってもなかなか来ません。
ただし、レースのペース次第では消耗型コースでキレのある馬が来ることもあります。これは「レース適性」に属することなのでまた次回。
このへんで今日はおひらきに。また来週のお楽しみを(って笑点かい)。