鈴本下席夜の部

正雀師匠の道具入り累ヶ渕水門前を目当てに行ってみたが、ツボにはまる芸人を発見。
代演で出ていた柳家紫文という粋曲の芸人だが、三味線を弾きながら「火付盗賊改方長谷川平蔵がいつものように両国橋の袂を歩いていたら…」と水音の下座入りで語り始める。必ず水商売の女と誰かが両国橋ですれ違い、その時にその誰かが前のめりに崩れ落ちる。
例えば。
虫屋の男が前のめりに崩れ落ちる。「虫屋さん、大丈夫ですか」「なに、あっしは大丈夫ですが、このかぶと虫が…。てんとう虫になりやした。」
単にダジャレである。下座まで巻き込んでの壮大なるダジャレである。そして長谷川平蔵は何にも関係がない(笑い)。
こういうバカバカしい芸は大好きだ。腹の底から笑える。
もちろん正雀師匠の豊志賀も凄惨味があってよろしかった。怪談は夏の風物詩だねえ。