函館記念の予想

土曜日の傾向を確認しよう。
先週までとの大きな違いは、差し馬が台頭してきているということだろう。メインレースこそ逃げ残りだが、2歳重賞なので能力の差というのもある。その他では、特に一周する1800以上ではおおむね好位か差し馬が連対している。勝ち切ることを考えると、むしろ差し追込みの方がいい。
そういう傾向なので、出目としても内枠はほとんど死んでいる。かといって15番16番もほぼ死に目。10番前後の真ん中ぐらいがいいようだ。つまり、内側はパワーを必要として伸びないが、外過ぎても距離ロスが大きくてダメということ。もちろん、ラチから2頭目3頭目の位置を楽に取れるのであれば問題ないが、たいていは大外の場合はスタートから少し無理して前につけるかいったん下げて後方からになる。下げすぎると今度は届かない。
人気は1番人気は0勝だが、6番人気以降の穴馬も0勝。無理な穴狙いは禁物で、これは荒れるハンデ重賞の函館記念といえど同様だろう。穴を狙うなら2着3着。これは函館の芝競馬の鉄則でもあります(逆に言えば、函館の芝は2着は普段からよく荒れるので一筋縄にはいかない)。


と見てきたところで、狙い馬はズバリ、⑬グランデッツァ
まず前日売りのオッズを見ると、5番人気までの馬番は、2、3、7、13、14。ちょっと内過ぎるか外過ぎる。程よいのが⑦アンコイルドしかいないので、この時点でほぼ単勝の狙いが決定する。
内過ぎると外へ出すのは難しいので、どっちかというと外枠の馬が気になる。

グランデッツァ。札幌で2勝2着1回。洋芝適性は間違いなく高い。中山のスプリングSも勝っていて、勝ち方も好位から3角から徐々にポジションを上げていっての差し切りで、小回りコースも問題ない。安田記念のダメージがどうかというところ。巷説では、あれだけ道悪だったレースなのでその後の消耗が激しく、疲労が残っているのではないかとも疑問に思われている。
が、果たしてそうだろうか?まだ安田記念の後にレースをした馬は1頭もいなくて、それも予定通りの休養をとっている馬が多いので、単なる推測というか邪推である可能性が高い。おそらくジャスタウェイ陣営の「いつもよりもかなり疲労している」というレース直後のコメントが独り歩きしてしまった結果ではなかろうか。
だから、好枠のアンコイルドが逆転されるならこの馬だ。というか、たぶん、勝つ。

バウンスシャッセオークス3着馬で、かつ、今年の3歳牝馬のトップクラスがレベルが高いということで注目されている。ところで、このレースの傾向として、牝馬や3歳馬の成績はどうなのか?
牝馬の優勝は、1998年のパルブライトまで遡る。1996年にはブライトサンディーが勝っているが、これは降着による繰り上がり。あとは1992年のヒガシマジョルカだけ。
3歳馬の優勝は、さらに1989年のスピークリーズンまで遡る。グレード制導入後ではサッカーボーイニッポーテイオーと3勝。最近では3歳馬の上位グループはこんな時期に走らないので、クラシックで掲示板に載るレベルの馬がそもそも走ってこないというのもある。2007年にナムラーマースが6着(5人気)。毎日杯を勝って、皐月賞11着、ダービー8着の馬だった。その前が2001年のプレジオで10着。これは共同通信杯2着でクラシックは未出走。それでも4番人気の推された。ここ15年ぐらいではこの2頭のみ。
推測すると、牡馬クラシックで掲示板に載れるかどうかという馬、スピークリーズンは皐月賞6着ダービー8着、サッカーボーイ弥生賞3着NHK杯4着ダービー15着、ニッポーテイオー弥生賞3着皐月賞8着NHK杯8着、であれば、勝ち負けになる。プレジオのレベルだと難しい。
バウンスシャッセは都合よく、皐月賞を走っていて11着。ナムラマース程度だろう。ということは、掲示板がどうかという予想。陣営としては「クイーンSより斤量の軽いここへ」と言っているが、秋の目標である秋華賞へ向けてダメージが少なく、賞金も稼げる可能性が高いということでここを選んだのだろう。ここで重要なのは「賞金を稼げる」というのは勝てるとイコールではないこと。5着までに入れる可能性を比較して、こちらの方が高いと踏んだのだろう。「勝てる」とは一言も言っていない、というか、そんなつもりは多分ないでしょう。

アンコイルドは、これは穴が少ない。函館の実績もあり、去年が2着。G1でも秋天4着と能力は高い。が、勝ち切れないもどかしさもある。いわゆる「複勝なら」というやつで、買うと4着になるだろう(笑い)。

ステラウインドは実績が足りないですよ。去年帯同馬としてフランス遠征したことで名前が知られ、やや過剰人気気味の馬でもあります。枠順以前に単勝でどうこうという馬ではない。

ラブイズブーシェは函館の実績があり、重賞でも好走している。有馬記念は4着だ(でも5着はタマモベストプレイというレベルの有馬記念だが)。ということで人気しているのだろう。正直、最後に勝ったのが去年の函館での1600万特別なので、ステラウインドとそんなに変わらないと思う。だったら、OP特別をきっちり勝ってきているグランデッツァの方が強いのは明白だろう(しかも、こっちは5馬身差の2着に負かした馬が次にG3を勝っている)。

後は穴馬ということになるが、最初に見た通り、単勝を狙いにいくならそこは検討不要。しいて挙げるならアスカクリチャン、トウカイパラダイス。どちらも函館記念でそれなりの実績がある。が、どちらもそれなりの実績でしかないけど…

札幌記念2着のあるダークシャドウはいらないでしょう。前走3着で状態はいいだろうが、札幌と函館は全く別の競馬場。
よく「洋芝でローカルの競馬場」と一括りにされるが、とんでもない!
何が違うか?
コーナー半径が全然違う。
札幌のコーナー半径は168mで10場中2位。東京と同じ半径である。
対する函館のコーナー半径は143mで10場中7位。小倉よりはやや広いが、中山や福島よりはタイトなコースである。
コーナー半径が違うと何に影響してくるかというと、コーナー旋回速度である。もちろん、コーナー半径が長いほど曲がりやすい(のでスピードが出る)し、短いほど曲がりにくい(のでスピードが出ない)。
また、器用な馬であればタイトなコーナーでも加速できるが、不器用な馬はコーナー半径の短いコースでは外に膨れて上手く加速できない。東京、新潟外回り、中京、阪神外回り、京都外回り(つまり直線が長いのでコーナーで追い上げる必要のないコース)でしか走れない馬、マクリを打てない馬というのはこういう馬が多い。
世に「小回りコース」と言われるが、札幌が「小回りコース」とか、物を知らなさすぎる。あれは単に直線が短いだけだ。多少不器用な馬でもコーナーで加速できるので、どっちかというと東京に近い適性を求められる。その証拠に札幌の上がり3Fタイムは33秒台も続出するぐらい速い。
だからダークシャドウの戦績をよく見て御覧なさい。好走してるのは東京か京都外回りがほとんどですよ。前走も東京だから3着に来られた。せめて札幌記念だったらそれなりに走れただろう(が、メンバーも強いのでやはり勝ち負けにはならないだろうが)。
来週から札幌に開催が替わるので、これは覚えておいて損はないです。まあ、中山から東京に開催が替わるようなもんですよ。