朝比奈隆「楽は堂に満ちて」

楽は堂に満ちて (中公文庫)

楽は堂に満ちて (中公文庫)

これは結構な掘り出しモンやったと思ってる。前回の古本市で見つけたんやけど。
前半は朝比奈先生が日経新聞の今も続いているコラム「私の履歴書」で連載していたものを単行本化したもの。
あとはいろんなところからのを寄せ集めたので一貫性はないし、音楽的なことはほとんど書いてない。
それだけに逆に僕のような一般的なファンには親しみやすい。たぶん、専門的に楽器なんかをやっている人にとっては物足りないと思う。けど、音楽を離れて一人の芸術家の自伝みたいなものとして読んだら興味深い話題が多いこと。特に戦中から戦後にかけて、あるいはその後の関西交響楽団(現在の大フィル)あたりの話は芸術とカネのバランスの難しさというのがよく分かる。芸術は理想。カネは現実。どっちが欠けてもいい作品は生まれない。
余談ながら、BGMは当然コレ最後を締めくくる一編はこの時の演奏旅行についてのエッセイ。そういやライナーで一部、読んだことがあるよなあ(苦笑)。