芥川龍之介「蜘蛛の糸・杜子春」

蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)

蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)

ばっさりと一言で。
「くだらん」
いくら少年向けとはいえ、説教臭すぎてなあ。
蜘蛛の糸」は比較的読むに耐えられる。ただ、蜘蛛を殺すのを思いとどまったことが「善い事」なのか? そんなのは当たり前のことではないのか? その程度の人間であるから後から昇ってくる亡者どもを払い落とすわけでもあるが。
「犬と笛」は単なる冒険譚でしかない。はっきり言えば少年○ャンプで5回ぐらいで打ち切りになる漫画レベル。
そんな中で「蜜柑」「魔術」はオッと思わせる。「蜜柑」の田舎臭い娘の弟たちを思いやる優しさへの意外な展開。「魔術」の人間の欲深さ。まだ読める。
杜子春」も「魔術」同様に欲がテーマであるが、おんなじことの繰り返しというのはあまりに学習能力がなさすぎないか? その辺の設定の甘さは分からんな。
「アグニの神」は、後で出てくる「猿蟹合戦」みたいに後日談をつけておちょくってやりたいぐらいにくだらん。登場人物は何にもしてないし、単に因業ババアが自爆するだけ。この後、因業ババア殺害の疑いで遠藤が逮捕され、(以下猿蟹合戦)
「トロッコ」も意味不明。子供の冒険と日常から切り離されたことへの恐怖か。
「仙人」は一番意味不明。で、結局何なんよ?って。それならまだ駄作でも「猿蟹合戦」の方が風刺という意味でマシ。マシやけど、素人レベル。ちゃねらーのほうがおもろい話を書けると思う。
「白」は心温まる話。以上。
この1冊、子供に読ませるにはいいかもしれんけど、素でおもろないやろ。