シャミッソー「影をなくし男」

影をなくした男 (岩波文庫)

影をなくした男 (岩波文庫)

寓話風味の皮肉的な小説。
影が何を意味しているのか?
魂ととることもできるけど、もっと大事なことなのかもしれない。
いずれにせよ、カネが全てではなく、カネでどもならんことなんかいくらでもあって、名誉とかそんなものはバカバカしい。
けど、この作品の難点を挙げるとすれば、主人公は結局、最後まで魔法の道具に頼って生きていること。まあ現実の世の中もそんなものなのかもしれないけど、これではダメのび太のまま終わるドラえもんである。「カネで解決」の「カネ」が「魔法の道具」に置き換わっただけで。
そうやないやろ。
何か底が浅いな。
自助努力であるとか、互助の精神であるとか、そういうモンが欠けているように思うんや。