ブロイアー/フロイト「ヒステリー研究(下)」

上巻の具体的な「暫定報告」をうけて分析。
ブロイアーとフロイトの言うてることが微妙に違うのが面白いが、人間なんてそんなもんやろ。全く同じ思考のモンなんかおるわけないんやから。だから世の中はおもしろいんよ。人それぞれに違った考えを持っていて、それをどうやって折り合いをつけるのかとか。
ブロイアーの提唱した理屈をフロイトがハッテンさせていったというのが流れらしいけど、ここからフロイト精神分析へつながるのが何となく見えてくる。表層部分には直接要因が出てこないで隠蔽されている。それを少しずつ、連想ゲームのように1枚ずつめくっていく。そして核心部分へとたどりつく。
ああ、そういうのも面白いなあと。フィクションにしても、現実世界にしても、分からないもの、真の姿の見えないものを、表出してくることを少しずつ解きほぐして探求していくという展開。
小説であればミステリーみたいなのになるんやろうけど、読んでいて飽きさせないためにはそういうのが今の時代は必要。よく読まれている作家をみたらズラッとその手の人たちが並んでいる。大河小説みたいに延々といくつもの出来事が並べられるものは読まれないんよね。「それで? 次につながるの? つながらない。くっそー」みたいな。
ところが生身の人間に接するとなると逆になるから面白い。1回か2回で大体どういう性格でどんな考え方か分かってしまうようなのは底が浅いというのか、まあ付き合いもそれほど深くはならんわけで、そういうのんが勢いで「我々はお互いをよく理解しあっている」と勘違いして「これはもう運命です」となってまうわけよね。で、オチはすぐに飽きて赤の他人になれる方法を考えるか、自然に消えていくのを待つ。なあ、池添クンよ(笑い)。
逆に、最初は全然何考えてるんか分からん方が、それを少しずつ理解していく楽しさがあると思う。いつまでたっても理解できない人種というのもいるけど、よっぽどかけ離れてない限りは理解するぐらいはできると思う(共感できるかは別として)。しかし、そういうのはあまり歓迎されないんよね。インスタントというかファストフードというか、すぐに出来上がりやないと嫌やと。
話が思いっきり逸れてしまったけど、そういう深層心理へのアプローチが、先に読んだ(もう3年ぐらい前になるんか。早いな)「精神分析入門」なんかにつながっていくんよね。なるほどと。
しかし、フロイトの「手で額を押さえて『あなたはいつか思い出しますよ』と暗示をかける」やり方は、アレやな、ハッタリというのか、水晶玉に何かが見えているようなフリをして実は単に人間観察をしているだけの占い師に似てるな。胡散臭いと言うんやない。人間っていうのが以下に騙されやすいか、そして、自分をも騙していることに気づかないかということ。

そういや、次の本(どん本)がamazonから届いた。いつもはクソ佐川で送られてくるのに今回は別のところで、19時前に「(来週の土曜まで受け取れないので)今日、再配送できますか?」とダメ元で聞いてみたら「できますよ」って10分ぐらいで来てくれた。えらい!