レース間隔と成績の関係について

馬券検討の際に、ローテーションで「中〇週以上は消し」という作業を行っていないだろうか?
ワシも単複取捨の際に取り入れているが、実は感覚的に3か月以上の休み明けで消していたが、本当に正しいのか疑問に思った。おそらく、専門紙やスポーツ紙の記者の方々も「長年の経験による直感」で決めておられると思うのだが、実は、競馬において怖いのはその「直感」である。いわゆる「格言」というヤツだが、あれが随分とデタラメであることは度々指摘してきている。
今回、JRAのレースに絞って、あらためてレース間隔と成績の関係をデータ的に調べてみた。


おそらく、どこのスパンをとっても似たようなデータは出ると思われるので、先週の開催から1年遡ってデータをとってみた。
全出走馬をローテーションごとに勝率、複勝率を出して、比較してみる。
度数でやると、明らかに出走数の多い中1週〜中3週が有利という結論に達してしまうので、率で考える。
参考までに、出走数は、
連闘  1356
中1週  6958
中2週  9787
中3週  6630
中4週  3795
中5週  2383
中6週  1949
以下、中10週まで1000以上
というように、中3週と中4週のところで4割ぐらい差が出ている。
これを単純に度数で扱うと当然、中3週までが有利になるに決まっている。


さて、勝率と複勝率だが、まず全体の平均を示しておこう。
のべ45590頭の出走があり、勝率は7.0%、複勝率は20.9%が平均となる。
ある程度の出走数があり、かつ、この平均を上回るところが積極的に買いという条件になるし、相当低いところは消しという条件になる。
以下がローテ別の勝率、複勝率の一覧だ。

連闘  4.3  16.7
1週  7.5  22.7
2週  8.7  25.1
3週  7.7  22.4
4週  5.8  18.0
5週  6.2  19.1
6週  5.7  17.2
7週  6.7  21.5
8週  5.6  19.7
9週  6.6  18.5
10週 6.3  19.5
11週 6.2  17.2
12週 7.0  17.9
13週 6.7  18.9
14週 5.1  16.3
15週 5.9  17.9
16週 6.1  20.1
17週 6.2  18.0
18週 5.8  15.1
19週 4.6  16.7
20週 4.7  14.9
21週 4.0  15.4
22週 3.5  12.1
23週 5.1  21.5
24週 3.6  20.9
25週 7.5  22.6
26週 4.1  14.0
27週 7.5  16.4
28週 4.6  18.3
29週 5.9  12.9
30週 5.0  13.0
31週以上 4.0  13.3

明らかに山があるのが、中3週と中4週。勝率7%、複勝率20%を超えるのは中1週から中3週のみで、これが積極的に買いの条件だろう。とはいえ、それだけだと馬券を買える範囲がめちゃくちゃ絞られてしまうため、あまり現実的な取捨条件とはいえないかもしれない。軸を選んだり、迷った時の取捨条件として考えるべきだろうか。
その後、勝率6%前後、複勝率18〜20%前後で推移し、中17週と中18週のところで2つ目の分水嶺を迎える。
中18週以降、まれに複勝率で20%を超えるローテもあるが、大半が勝率5%、複勝率17%を割り、これは不利な条件ではないかと思われる。
まれに高い数値を示しているところは、おそらくオープンクラス、特に重賞出走馬の成績が影響しているのではなかろうかと思い、重賞のみを対象として調べてみた結果が次のとおり。

連闘  16.7  16.7
1週  2.6  10.6
2週  4.4  15.7
3週  4.9  18.6
4週  9.1  21.0
5週  4.6  17.3
6週  7.2  21.0
7週  11.9  31.0
8週  2.3  17.2
9週  15.8  28.9
10週 8.9  25.0
11週 10.8  24.3
12週 17.6  35.3
13週 15.0  22.5
14週 6.7  23.3
15週 8.3  20.8
16週 13.0  26.1
17週 5.6  50.0
18週以上 1.6  16.4

予想外に面白い結果が出てきた。
中18週以上のローテで重賞に出走した場合、122頭中2頭しか勝っていなくて、6分の1に相当する20頭が馬券になっているのみ。単勝で考える場合はほぼ即消しで、ヒモでもかなり熟考を要するくらい分が悪い。
ということは、平場でもともと能力があったにも関わらずケガなどの理由により長期休養していた馬が能力差で勝ち切った、あるいは3着までに突っ込んできたというのが、中18週以上での異常数値の原因と考えられ、そういう馬はたいてい人気するだろうから単複的には考えない方がよさそうだ。
ヒモで買う場合の取捨としては、手っ取り早いのは、能力があるゆえに人気するだろうから、中18週以上で人気していればヒモで押さえる、というのがいいだろう。


さて、重賞の分析結果をみてみると、全体とは真逆で、中1週〜中3週の数値がおそろしく低くなっている。
勝利度数でみると、中4週が1位で22勝、2位が中3週で18勝、3位が中2週で14勝となっているので、消しとするわけにはいかないが、平場ほど有利な条件ではないことが分かる。
逆に、中17週まででもコンスタントに複勝率が20%以上あり、ここまではローテの差よりも能力差などが大きく影響するのではないかと思われる。
さすがに中18週以上では勝率も複勝率も悪く、たとえ能力があっても単複や軸としては消しとしてしまうのが賢明だろう。ヒモについても平場と同様、人気していればとりあえず押さえておくぐらいでいいのではなかろうか。


結論
<重賞>
中17週まで  買い
中18週以上  人気している場合のみヒモで買い
目安:4カ月(17週×7日=119日≒4カ月)
<重賞以外>
中3週まで  積極的に買い
中17週まで  買い
中18週以上  人気している場合のみヒモで買い
目安:20日(3週×7日=21日)、4カ月(上記と同じ計算)


地方に関しては、調べてみないと分からないが、おそらく、似たような傾向を示し、より「使いながら仕上げる」の傾向が強いだろうから、中3週までを軸に据えて買うのがいいのかもしれない。