人気と着順の関係

馬券必勝本等でよく言われることの一つに「人気と強さは関係ない」というものがある。
人気というのは馬券氏諸君がめいめいに入れた人気投票であり、理論的には強さと比例しないので正しい。
だが、実際には1番人気がよく勝っている「気がする」。あまり2桁人気の馬は馬券になっていない「気がする」。
「気がする」というのは実は恐い。人間の思い込みは誤った認識を植えつけることが多い。馬券検討の上でも「この馬は東京では走らない」という類いの思い込みで失敗した方も多いはずだ。
そこで人気と着順の関係について、実際に調べてみた。
JRAの競馬場ごとに過去5年の人気別の1着シェア率を挙げてみる。データは左から場名、1番人気〜5番人気、6番人気以下の1着シェア率

札幌 32.9 19.5 14.2  9.2 8.4 15.7
函館 33.0 19.8 14.8 10.1 6.9 15.3
福島 28.7 19.8 14.0  9.4 8.2 19.8
新潟 30.9 17.6 14.1  9.5 6.4 21.4 
中山 32.1 19.7 13.4 11.0 6.1 17.8
東京 31.4 19.5 13.3 10.3 7.2 18.3
中京 30.9 17.7 14.6  8.1 6.7 22.1
京都 33.7 17.6 12.8  9.6 8.0 18.4
阪神 32.3 18.4 13.2  9.3 7.5 19.3
小倉 32.2 21.1 12.3  7.9 7.4 19.1

競馬場に関係なく、人気ごとにほぼ一定のシェア率を示していることが分かるだろう。
最近5年間の全レースが対象なので、恣意的な抽出ではなく、サンプル数も多いので信頼度は高いと思うし、南関のデータ(1年分ぐらいだが)で見ても大きな差はない。
もちろん、細かく見れば福島は1番人気のシェア率が低いとか、中京は6番人気以下の人気薄の来ることが多いとか差はある。しかし、約3割は1番人気が勝っていたり、6番人気以下が10頭ぐらい束になってかかっても2番人気1頭だけのシェア率とほぼ同じだったり、傾向としては同じであると言えよう。
つまり、「人気と着順は相関関係にある」と言える。
最初に挙げた「人気と強さは関係ない」という格言は、統計的に見ればウソなのである。(競馬でよくある格言は思い込みによるウソが多い。)
この格言を表に出す方というのは、まあ、本命クソ食らえ、穴馬を当ててこそ真の馬券師と思っている傾向が強い。それはそれで結構だが、実際には1番人気が3回に1回は勝っているわけで、強いて激流に棹差して川上りをする必要もなかろうかとは思う。
最近の個人的な考えとしては、能力指数だとかスピード指数をちまちまと計算するぐらいなら、単純に人気を使った方が手っ取り早いとすら思っている。こっちは計算する必要は一切ないわけだし。
なので、自分の馬券としては、まず5番人気までを検討対象とすることにしている。5番人気までだけで8割強は単勝が当たるはずなのだ。残りの2割弱を全部検討する時間・リスクと10頭近くを瞬殺する時間・メリットとの天秤だ。
時間を持て余していて困っている方は全出走馬を検討されたらよろしいが、普通の勤め人にしてみたらなかなかそうはいかないだろう。オッズを見ただけで10頭近くを消去できる馬券術といのもそうそうはないと思うよ。