人的コスト意識の欠如

国家公務員に対する調査で「政権交代によって残業が増加した」との回答が多くを占めたという報道。
今さら言うてるんかいと。ワシ、去年の今頃からずっと言うてきたで。
民主党政権のダメなところは、外国人参政権だとか夫婦別姓だとか、いろいろ言われてるけど、根本的にダメなところは「コスト、特に人件費に対する意識の欠如」だろう。典型的なのが事業仕分け子供手当といったパフォーマンス主目的の政策で、ニュースで成果や波及効果の予想などが大々的に報じられるため一般受けはする。しかし、その裏では莫大な人件費の無駄遣いが行われているという事実。
事業仕分けは、全省庁、その管轄下の独法や財団といった公益法人のほぼ全てに対して全事業の洗い直しと称して、細かい資料を作成させた。その結果はご存知の通り、一部の悪質法人に対して効果を挙げたが、その成果以上に、マジメにやっている省庁・法人の通常外業務を爆発的に増加させ、一時的とはいえ、とんでもない長時間勤務とその対価を払わせた。が、仕分けでの判定があっさり覆ったり、果たして本当の成果はどんなもんよというところ。財政的にはほとんど意味がなかったことは、結局21年度歳費が前年度より増加していたことからも明らかである。
子供手当にしても、子供のいる全家庭にバラまいて消費を喚起させようという意図はあったかもしれんが、時勢を考えたらそんなもん「貯金します」という家庭が大半を占めるのはやる前からわかっていたこと。実際に議論もされて、換金不能な金券での配布という意見もあったぐらいである。消費に回らず初期の目的は全く達成できず、子供手当支給のために自治体の手間だけはやたらとかかって、人的コストの無駄遣いのお手本ともいえる。
与党の人的コストへの考え方をたとえるなら、東京大阪間の出張をするのに「新幹線では特急代がかかってムダだから在来線か夜行バスで行きたまえ」という発想をしているようなもの。パッと見た目には支出を抑えているように見えるが、新幹線と在来線との所要時間の差である6時間近く(公務員の所定勤務時間の1日分は7時間45分なのでほぼ丸一日)を全く無為に過ごさせて、その間にどれだけの仕事ができるんよということは考えていない。さすがにここまで極端な指示はないだろうが、もう少し複雑なシステムの中で、子供手当のような「手間だけかかって成果はなし」というバカみたいなことをしているわけだ。
たかだか人件費だろというバカどものために数字で示してやろう。時給2000円(=日給約1.5万円、月給約30万円)で1日3時間残業をした場合、20日間で12万円。これが1人分で、100人いれば月1200万円、年間約1億5000万円になる。もし、このコストが丸々浮いたら、ヘタな事業仕分けをするよりも遥かに効果が高い。まあ、丸々浮くことはありえないが…。逆にアホみたいに仕事量を増やせば倍増することはありうるわけである(予算の範囲内で)。
こんな人気取りだけでカネばかりかかるような上っ面だけの政策に騙される愚民もバカだが、今の今まで隠し通してきたマスゴミにも罪はあると思う。つうか、1年前にあれだけヨイショしてきて、今のようにボロクソに叩くなよってなあ…。無責任すぎる。